3つの事例で見る、「夫源病」の気づき
夫源病を自覚した妻は、どのような行動を取ればよいのでしょうか。いくつかのパターンを見ていきましょう。
Aさんの場合
社交的で友人も多いAさん。一方、Aさんの夫は人とコミュニケーションを取ることが苦手で内向的なタイプです。
結婚後しばらくすると、Aさんの夫は、Aさんが友人と出かけると不機嫌になったり、家を空けていると「どこで何をしているのか、いつ帰るのか」としょっちゅう連絡をしたりするようになりました。
ほかにも、Aさんの話を興味がなさそうに聞いたり、ささいな発言を否定したり…Aさんはやがて、夫と家にいたり夫からの電話に出たりすると、頭痛がするようになっていました。
人に弱みを見せるのが苦手で、悩み相談などもなかなかできないAさん。夫がいないときに感動映画を観て大泣きしたり、ひとりカラオケで思いっきり歌ったりして、気持ちをリフレッシュしました。
後日夫に対して不満を伝えたところ、Aさんの夫は、自分とは真逆の性格であるAさんに対してコンプレックスを抱いていたことがわかりました。嫉妬心からわざと興味のないフリをしたり、Aさんが楽しそうな様子だとイライラしてしまったりしていたのです。
一方Aさんも、内心では夫に対して「暗くてめんどくさい」「一緒に過ごす友達もいないのか」と、夫のことを下に見てしまっていたことを自覚しました。
Bさんの場合
小さな子どもがいるBさんは、仕事と家庭の両立で疲れ果てていました。Bさんの夫は、会社や友人たちの前では「妻といっしょに家事や育児をしている」とアピールし、周囲からは「いい旦那さん」だと思われています。
しかし実際は共働きであるにも関わらず、家のことや子どもに関することのほとんどをBさんが担当。
Bさんの夫は、ときどき保育園に子どもを送ったり、外など人が見ている場所では子どもと遊んだりする程度で、家ではBさんに任せきりでした。それどころか、妻にダメ出しをする始末だったのです。
Bさんは、夫が家にいるとめまいがしたり、隣で寝ている姿を見ると眠れなくなったりするようになりました。耐えかねたBさんは、子どもを連れて実家に帰省。1週間ほど夫と離れて過ごしたところ、めまいや不眠の症状がおさまりました。
家に帰ってから夫と話し合ったところ、Bさんの夫はBさんと離れたことで、Bさんの努力によって家庭が回っていたこと、その存在の大きさを痛感していました。
実は、結婚当初はBさんの夫も家事をしていたのですが、家事にこだわりのあるBさんは夫がやった家事をあとでこっそりやり直したり、「自分がやったほうが早い」と思っていたりして、夫が家のことをやらないような環境をつくっていたことがわかりました。
Cさんの場合
Cさんの夫は、いわゆる高学歴・高収入。以前から上から目線の発言はありましたが、結婚してからはエスカレート。Cさんの出身校や仕事などを茶化したり、Cさんがわからないことやできないことがあると、バカにした発言をしたりすることがありました。
Cさんの夫は、Cさんを「何を言っても怒らない存在」と認識し、上からものを言うことで自分のプライドを保っていたのです。
一方、Cさんもそんな夫と暮らしていていつしか自信を失い、「自分は何もできない」と考えたり、過剰に自分を責めたりするような心理状況になっていました。
やがてCさんは、夫と過ごしたり話したりしていると不安になったり、耳鳴りがするようになりました。
そこでCさんは、夫に内緒で友人と一流ホテルのランチビュッフェに行ったり、いつも買うものより少しだけ高価なニットを購入したりしたことで、気分転換。
気分をリフレッシュすることにより冷静に夫と対峙できるようになったCさんは、あるとき「バカにしたような言い方はやめてほしい」と伝えることができたのです。
3つのケースをご紹介しましたが、「夫だけが100%悪くて妻は完璧」というわけではなく、妻にもなんらかの問題があることも、もちろんあります。
これらはいずれも、妻が夫に自分の思いを伝えることができたり、自分の問題点に気づいたりできたケースです。それだけですべて解決できるわけではないかもしれませんが、関係性を再構築するための第一歩になるのではないでしょうか。
夫源病は夫婦関係を見直すチャンス
結婚していっしょに共同生活をおくるようになると、パートナーのことをもっと好きになったり魅力を再確認したりする人がいる一方で、「付き合っていたときにはわからなかった欠点が気になる」「こんな人だとは思わなかった」とがっかりする女性もいるかもしれません。
ときにケンカをすることがあっても、コミュニケーションが取れていたり、お互いに思いやりを持って接したりしていれば、夫が原因で妻が追い詰められ苦しむ…ということはないはず。
パートナーといると具合が悪くなるけれど離婚は難しい状況、または別れる気はないという場合、適度にストレス解消をしたり割り切ったりして過ごしていく方法もあるかもしれません。
ただし「自分さえ耐えれば」と思っていても、子どもがいる家庭では結果として子どもにギスギスした家庭環境を強いることになる点には注意したほうがよいでしょう。
パートナーに変化が見られない、夫源病の症状が深刻…などの場合、今後の夫婦関係をどうしていくことがベストなのか、一度落ち着いて考えてみたほうがよいかもしれません。
- 参考:石蔵文信著書『夫源病 – こんなアタシに誰がした -』
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