タッピング療法が効く理由2「注目」
さらにタッピングが素晴らしいのは、身体感覚がある点。それこそ「怒りを感じたときは、座禅をしましょう」とか「深呼吸をしましょう」というのもひとつの手ではあるかもしれません。しかし座禅や深呼吸をしていても、その間にネガティブな思いに意識が取られてしまうリスクもあります。
その点、タッピングは、まずタップするという行為によって、強制的に意識が向けられます。さらにタップを受ける体の方も、その感覚に集中せざるを得ません。
やや逆の話となりますが、昔の拷問で「額に水を垂らしつづける」というものがあったといいます。ある捕虜の額に水をポトン、ポトンと垂らし続けると、その捕虜はその雫が気になってしまい、非常なつらさを感じる…というわけです。
定期的に体の1部に刺激を受けるということは、注目を集めることにもつながるのです。もちろん、これが拷問になりえるのは「自分の意志ではない」から。
人間、何かを強制されることほどつらいことはありません。その点、このタッピングなら、自分の意志だけでタップを続けることになります。よって強いストレスはありません。
くわえてそれによって、体に定期的な刺激が与えられるわけですから、体や脳は、そこに注目せざるを得ません。すると結果、その感覚に集中する必要があり、自分のネガティブな思考から意識がそれていく…というわけです。
さらにそのタップする場所は、大半が東洋医学での「ツボ」といわれるところ。多くのタッピング療法について扱う書籍では、だからこそ治療効果が高い、というような内容が書かれています。
ただ個人的には、ツボ押しとしての効果というより「ツボ=人間の急所」というところがポイントではないかと思います。
急所こと弱点ゆえに、人間はついついそこに注目してしまうわけです。なぜなら、放置したら死ぬ危険がある場所だからです。ためしに、フトモモを何回かタップしてみてください。おそらく「鎖骨」や「鼻の下」ほどインパクトはなく、そこまで効果は高くないのではないでしょうか。
特に鎖骨は骨ゆえに、タップの振動がダイレクトに体全体に響きます。それすなわち、体にとって「一大事」な刺激なので、だからこそ気持ちがそれやすく、穏やかになっている可能性があります。
タッピング療法が効く理由3「安らぎ」
そして3つ目。人間にとって「触れあう」という刺激は何より重要です。なぜなら社会における孤立は死につながる危険性があるから。大勢でグループになっていた方が、生物として生き残りやすくなるわけです。だからこそ、人との触れあいにたいして、みんな多かれ少なかれ憧れがあるわけですね。
よって人は、タッピングによって「触られている」ことを意識して、結果的に気持ちが安らいでいる…と考えられるわけです。よく赤ちゃんが、ポンポンと体を叩かれ「よしよし…!」といわれることで、安心して眠れるのにも似ています。
特に、重ねて押す場所はほとんど「ツボ」なので、そこを押される快感があるのかもしれません。ただ、ツボでないと効果がない、ということはありません。何であっても、
- タップしやすい
- 意識がタップに集まりやすい
- 何より自分自身、触っていて気持ちいい
という場所なら構いません。それこそルーティンのように、毎朝起きたら、必ずタップする、または日常的に何か気持ちが動きそうだな…と思ったら、とにかくコマメにタップしていきましょう。それだけで、気持ちは大きくリラックスしていくはずです。
いかがでしたでしょうか。人間にとって何より心を癒すのは、他人の存在。誰かと時間を共有し、一体感を得ている時、人は最大限に気持ちが安らぎます。そしてタッピングは、それを擬似的に、自分だけの力で実行する方法になるわけです。どうか覚えておいてくださいね。
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