事後の報告よりも仕事の把握を
とはいえ、「部下がいまどんな仕事をしているかがいまひとつわからない」と感じるのは、部下の仕事をあまり把握できていないせいであるのは間違いありません。上司としては少し反省すべきかもしれません。
では、どうするのがいいか?部下からマメに、詳細に報告させるというのもひとつの方法ですが、私としてはあまりおすすめしません。もちろん、コミュニケーションが不足しがちになる分、従来よりは報告を増やしてもらうべきだとは思います。しかし、報告(特に事後の報告)を増やすだけでは、部下の状況を把握するのは難しいです。
それよりも重要なのは、部下が抱えているはずの仕事を、上司が把握しておくこと。もっと単純にいうとメモしておくことです(頭で覚えようとしてはいけません)。
たとえば、自分に新しいタスクが発生したら、書きとめますよね。それと同じように、部下に新しい仕事が発生したときに、それを書きとめておくのがおすすめです(※ミーティングの後や、何か新規の案件について報告を受けたとき、部下に指示を出したときなどに書きます)。
書き方は、自分のタスクを書くときほど細かくなくて構いません。実行日は決めなくてもいいし、大きめの仕事を細分化する(2時間以内のタスクにする)こともしなくて構いません。
たとえば「人」×「週」の表のようなものを用意しておき、それぞれの人が行うであろう仕事を付せんに書いて、表のなかに貼っておく。そのくらいの、少しアバウトな感じで構いません。これが可視化できているだけで、部下が何に取りかかっているか(あるいは何かを忘れていないか)をかなり判断しやすくなります。
部下からの「事後の報告」を充実させても、その効果は限定的です。事前の「これからやる仕事」について、少し踏み込んで把握する(書きとめて可視化する)ことが重要。そこに少し手間をかけてみてはいかがですか?
現実にできていない上司が多い
もっと詳細に部下の仕事を把握できているほうがいいんじゃないか?そういう疑問はもっともだと思います。
可能であれば、部下に詳細な計画を立ててもらい、それを報告してもらう。または常に上司が閲覧できる状態になっている。そうなっているほうが、より安心だと思います。ただ、これってなかなか難しいことなんですよね。
まず、現実問題として…世のなかの上司の多くは、先の例のような、ゆるい管理すらできてません。自分の記憶を頼りに部下に質問したり、進捗を確認したり…という感じのかたが多いんですよね。これって、明らかによくないです。
記憶を頼りにしている時点でかなりの不確かさが生じますし、それを補おうとして部下を質問攻めにすると、部下の負担が増えます。だから簡単にできる方法として、先ほどのような、ゆるい管理をおすすめしたというわけです。