きょうは、ユングの提唱する「母親コンプレックス」とその対処法についてお話ししましょう。実はこれ、男性も女性も持っている可能性があります。
「恋人はなんで同じように愛してくれないんだろう」「きっと最後には捨てられるんだろうな…」という思いは、この母親コンプレックスからくる反応。このコンプレックスを抱え、生きづらさを感じているというかたは、結構多いのではないでしょうか。
母親コンプレックスとは?
母親コンプレックスは、「母親に愛されたい(だから自分はいい子でいる)」「すべてを包み込むように受け止めてほしい」「自分の思い通りに欲求を満たしてほしい」という気持ちと、それを満たされない場合の「なぜ、もっと愛してくれないの」という敵意や恨み、「どうせわかってもらえないはず」とか「きっとこの人も私を見捨てるはずだ」などという強い失望やあきらめの反応が起こります。
対象が母親本人でなくとも、このコンプレックスは刺激されるので、年長の女性や他人の母親たちに対しても、同様の反応が出る可能性があります。
たとえば、職場やアルバイト先などで年長の女性に対し、はじめはおどおどしていたのが、1度やさしくしてもらえるとわかると、過度に甘えるようになってしまうというのもそれです。
また反対に、ちょっとしたことをきっかけに妙に反発したり、干渉や束縛を嫌って敵意に近いような感情を抱いたりするのも、このようなコンプレックスによる反応です。
男性の場合は相手が年長でなくとも、近しい女性に対して母親コンプレックスが働く場合があります。恋人や同僚、場合によっては部下や年下の女性に対しても同様の反応が現れる場合も多いですね。
日本で日常語として使われる「マザコン(ファザコン)」という言葉は、「マザー(ファザー)・コンプレックス」の略ですが、日常語におけるこれらの言葉は、単純に「母親や父親にべったりしていたり、恋人に対して母親や父親の影を追い求めたりする人」という意味でつかわれる場合が多いです。