お互いが家庭と家族にコミットする
筆者のまわりの共働き夫婦を見ても、仲のよい夫婦はバランスが取れているなと思います。
平日は仕事で遅くなるため妻が一手に育児を担っているけれど、土日は夫が遊びに連れ出している夫婦。家事はふたりで分担し、子育て面では妻が学習、教育、迎えの対応を、夫がお弁当作りと送りを担っている夫婦。料理は妻の役割、それ以外の洗濯・掃除は夫の役割と家事を分担している夫婦、あえて1〜2週に1日ずつそれぞれが一人になれる時間を作っている夫婦etc…。
家庭によって形は違えども、お互いの制約を知り、認めつつ、それぞれが得意なことやできることを自然な形で担い、日常を回している、そんな夫婦が円満である場合が多いのかもしれないなと、今回弘子さんの話を聞いて思いました。
共通しているのは、「お互いが家庭と家族にコミットしている」こと。家庭のなかでの自分の役割を考え、それを実行に移す。相手の状況や声に耳を傾け、尊重する。パートナーに自分に合わせることを強要するのではなく、歩み寄り、一緒に家庭を築いていこうと努力する。そんなお互いの姿勢が円満の秘訣なのかもしれません。
還暦を過ぎても、「また夫婦になりたい」
取材の最後で、弘子さんに「生まれ変わっても正樹さんと結婚したいか?」と訊ねたところ、答えはもちろん「YES」。
数年前に夫とともに定年退職した弘子さんはいま、毎月のように夫婦で旅行に出かけているようです。そのプランを立てるのは正樹さん。「私はそういう計画を立てるのは苦手だから、ただ付いて行くだけで楽しい思いをさせてもらって、本当に助かっているのよ」と弘子さんは楽しそうにいいます。
そういえば、弘子さんの娘である従姉が以前、「うちはお父さんが主導権を握っているように見えるけれど、実はお父さんはお母さんに頭が上がらないのよ」といっていたことを思い出しました。
正樹さんは、足りないところもある自分を認め、自分が妻や家族のためにとやっていることを尊重してくれる弘子さんのことを、とても大事に思っているのでしょう。そしてそうした妻の優しさに甘えることなく、自分が得意なこと、できることで妻を喜ばせたい、楽しんでもらいたいという正樹さんの想いを、きちんと弘子さんは受け取っているのでしょう。
やっぱり伯母夫婦は素敵だと思いました。
仕事をしていれば余裕のない時期もあります。「こうしたい」と思っても、自分や相手の仕事や職場がそれを許さないこともあるでしょう。でも、夫婦円満を望むのなら、相手のいいところに目を向け、そのとき自分にできることを継続してやり、それを家庭のなかでの自分の役割にしていくとよいのかもしれません。
相手は自分の鏡。少し意識するだけで、きっと夫婦関係がいまよりもっと優しさに満ちたものになりそうです。
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- ※本文内容を一部修正しました(2022/04/19)