アウティングによるカミングアウト
「あなた、女の子と付き合ってる?」
ある日、母から予想だにしない質問を投げかけられ、初めて「アウティング」を経験しました。アウティングとは前述の通り、本人の許可なしにその人が秘密にしているセクシュアリティを第三者に漏らすことです。
アウティングをした人は、幼馴染のお母さん(以下、Cさんと称す)。私がいたのは東京のなかでも小さなコミュニティだったので、友達や幼馴染とも親ぐるみで仲がよく、お互いがお互いをよく知る関係。昔の地元とのつながりはいい意味でも悪い意味でも強く、すぐに情報が広がり、ときには噂話を耳にすることもありました。
Cさんとは地元が同じで、SNSでもつながっていたため、大人になり外のコミュニティと関わる機会が増えたあとも連絡を取り合っていました。
当時、仲のいい友達以外には同性の恋人の存在を隠していたため、SNS上では恋人らしい写真は載せていなかったのですが…同じ人の写真が頻繁に載っていることで察したのか、Cさんは私の母と会うたびに「ほのかって実際のところどうなの?」と聞いていたそうです。
そしてどこからか情報が漏れたのか、私と恋人との写真を見せられ、「ほら、付き合ってる子らしいよ」と伝えられてしまいました。
突然同性と付き合っていることを伝えられた母親
母からの予想だにしない質問に驚いた私は、いまでもときが止まったかのような感覚を覚えています。
ですが、私が同性と付き合っていることを知った母は、「やっぱりね〜」と顔色ひとつ変えずに一言。その反応を見て、大号泣してしまいました。
悲しさではなく、安心感、怒り、悔しさなど、さまざまな感情が交差した涙。「信じていたはずの人から暴露されてしまった」「母親がもし反対したらどうなっていただろうか」「なにより自分のことは自分の言葉で伝えたかった」など、頭のなかが大渋滞していました。
その後も「あなたが本当に幸せなことが私の幸せだから。世のなか、異性と結婚しても不幸に感じる人はたくさんいるから、性別って関係ないのかもね」と同等な目線で伝えてくれて、肩の荷が降りたような感覚でした。
しかしながら、その後Cさんから幼馴染、その友達からまた友達へと私の話はすぐに広まり、ある幼馴染からはSNSをブロックされてしまいました。
アウティングの嵐でしたが、こうなってしまった上では、友達なら関わりを絶てばいいとは思っていたので、母親が受け入れてくれただけでも大きな救いとなったのです。