僕のカウンセリングルームには、さまざまなお悩みを抱えたかたがご相談にいらっしゃいます。きょうは「教師を続けていいかわからない」というご相談を、個人を特定されないように内容を一部変更してご紹介しましょう。
読者の質問:教師を続けてもいいのか悩んでいます
私は、周囲から「教師向きだ」といわれ教師を目指してきました。自分自身もそう思い、それなりに努力もしてきました。その結果、教員採用試験に一発合格でき、1年目、2年目は無我夢中で頑張りました。
ですが、生徒との関係がうまくいかなくなってきた3年目くらいから「こんな私は教師に向いていないかも?」という思いが出てきてしまい、前向きに物事を考えることができなくなったのです。
私自身の性格にも問題があると思いますが、生徒を厳しく指導できません。どうしても甘くなってしまい、生徒からは「この先生だったら何をいっても大丈夫」となめられているんだと思います。
反発する生徒にばかり時間がかかってしまうので、真面目にやっている生徒にも申し訳ないです。本当にこんな私が教師を続けていてもいいんでしょうか?(Fさん/30代女性/中学教師)
「客観的な事実」を知る
ご相談いただき、ありがとうございます。Fさんのように生徒に厳しくできないという理由から、「こんな私は教師に向いていないかも?」と悩んでいる教師のかたは、実は非常に多いのですよ。
おそらく厳しく指導できる先生と自分自身を比べているか、Fさんの理想の教師像みたいなものがあって、現状とのギャップがあるのだと思います。それを比べないようにしようと思ったり、理想を持たないようにしようと思っても難しいのですよね。
まず客観的な事実だけでいえば、「教員免許を取れた」「教員採用試験に受かった」という事実は、教師にふさわしい人物であるということです。
教員免許を取得するには、多くの場合、大学で専門的な知識を学ばなければなりません。教育実習も受けなければなりません。とても大変なことですよね。誰もが取得できるわけではないのです。
つまり、教師は誰もができる仕事ではないということです。教員採用試験に受かったということは、Fさんは選ばれた人間なんです。まずは、このような客観的な事実を知ることが大切です。