ひとりと添い遂げるのは、「楽」なこと?
結婚している限り、結婚相手以外の人と恋愛をしたり、付き合ったりすることはない、という前提があります。
しかし、独身時代は多くの人が、いろんな人を好きになったり、付き合ったり別れたり…という経験を積んできています。それが、特定の相手との婚姻届を出しただけで、そこからはそういったことが「一切ゼロ」になるようにできている結婚の仕組みは、ある意味すごいのかもしれません。
気になる人ができてアプローチをしたり、コミュニケーションを取りながら相手のことを知っていったり、相手からの好意に気づいたり、会えず苛立ちを募らせたり…という、独身時代にやっていた恋愛のプロセスや、晴れて付き合ってからの日々は、不安定ながらも新鮮で楽しいもの。
独身時代は「ひとりの相手とずっと付き合うとは限らない」という認識でも、結婚すると、当然のように「一生、この相手とともに過ごす」ことが当たり前の立場に置かれるのは、よく考えてみればなかなか大きな変化です。
一方で、「結婚すれば、恋愛に対してもうあれこれ考えずに済む」と、結婚という制度には「ある意味ありがたい」ところもあるのではないでしょうか。
結婚すれば、もう好きな人や恋人の動向を気にして疲れることもなければ、恋人がいないこと・恋愛がうまくいかないことをコンプレックスに思うこともない。既婚者というカテゴリーに入ることは、そういった面ではある意味「楽」ともいえます。
恋愛にそこまで興味がない人・むしろ苦手な人にとっては、結婚をすることで、そういった側面から開放される部分はありそうです。
結婚で得られるもの、失うもの
結婚は「新鮮さ、好き勝手に過ごせる日々」を失う代わりに、「あたりまえの平穏」を得られるものなのかもしれません。
たとえ独身のままでいたとしても、何年も長く付き合うことになった相手ができたとしたら?子どもがほしくなったとしたら?
男性23.37%、女性14.06%という生涯未婚率(50歳時未婚率)が示すとおり、やはり、いずれは「結婚」というかたちに着地して、社会的にも安定した関係性を結ぶことを選ぶ人が多いのは、自然なことなのかもしれません。
一方で、思い切り恋愛をしたり、気が済むまで仕事や趣味に打ち込んだり、好きなことにたくさんお金や時間を使ったり…ということは、「独身だからこそ」「自分ひとりだけだからこそ」できる醍醐味ともいえそうです。
「妻」として、「母親」として、自分以外の誰かとともに生きていくのはもちろん素晴らしいこと。でもそれは、「ひとりだけで生きていく感覚」とは、やっぱりまったく違うもの。結婚すればどうしたってある程度は、家族のことを考えて過ごす生活が基本になり、守りに入る部分も出てきたり、制約が生まれたりもします。
しかし、気兼ねせず素の自分で過ごせる・いざというときに頼れる相手が常にいること、自分だけの家族がいる安心感など、結婚はただ生活や子どもの世話のためだけではなく、自分自身に精神的な安定や充足感をもたらしてくれるものであるのは間違いないでしょう。