結婚、夫婦って何なんだろう?
学生時代や独身のときから、なんとなく「結婚は、いつかするもの」「大人になったら、人生を共にできるよいパートナーを見つける」という意識で生きてきた人もいるのではないでしょうか。
多様性が認められ、人それぞれの生き方を尊重するという価値観が醸成されてきつつある、この令和の時代。
しかし、内閣府の国立社会保障・人口問題研究所が発表している2019年時点での生涯未婚率(50歳時未婚率)は、男性が23.37%、女性が14.06%で、「結婚しない」という選択をする人は、まだ少数派。「結婚」「夫婦」に対する価値観は、まだそこまで急激には変化していないのかもしれません。
実際に結婚生活が始まって何年も経つと、「結婚」とは「ひとりの相手と夫婦としてあり続けること」とはなんなのか、それがどんな意味や価値を持つのか、よくわからなくなることもあるのではないでしょうか。
「簡単には解消できない」ことの良し悪し
結婚してからの人生は圧倒的に長く、たとえば20代~30代で結婚し、その相手と最後まで添い遂げることを考えると、50~60年もの間、ひとりの同じ相手とだけ“夫婦”という関係性を続けていくことになります。そう考えると、すごく壮大で、途方もないことのようにも思えます。
人生のうち、独身時代よりも子育ての期間よりも全然長い、結婚相手との“夫婦”としての生活。
ときに不満が積み重なって相手のよいところが見えなくなることがあったり、日々に退屈さを感じたり、「もし、この結婚生活をやめたらどうなるんだろう?」と考えたりすることがあるのは、そうおかしなことでもないのかもしれません。
生活や生計をともにしていれば、お互いの価値観のズレや違いも、少なからず出てきます。そのなかには、どうしても理解しがたい、受け入れられない部分もあるかもしれません。
ただ、仕事や人間関係などは「自分の意思でやめる、変えることもできる」側面が強いですが、結婚だけは別。ストレスや違和感を感じることがあっても、だからといってすぐに「じゃあ、もう関係を解消しよう」「お互い、新しい道へ行こう」とはいかないのが難しいところ。
一方で、一度結んだ夫婦関係をやめることは決して簡単ではないからこそ、同じ相手と向き合い続ける仕組みのなかで、「柔軟性」や「受容する力」が培われていくともいえます。
突き放すばかりでなく、否定するばかりでもなく「まあ、いいか」「それもひとつの考え方かもな」「違うところがあっても、当たり前だよね」と、結婚関係を続けていくうちに「ほどほど」のところに着地できるようになっていく人も多いはず。
これは、人生において欠かせない「自分以外の他人と付き合っていく」ことに役立つ、ひとつの術でもあるのかもしれません。