結婚生活において、「家計の管理」は多くの夫婦にとって重要なテーマの一つです。その中でも特に議論になりやすいのが、「お小遣い制」に対する考え方ではないでしょうか。
誰がどのくらい自由にお金を使えるのか?その基準は?どう決めている?といった疑問は、夫婦それぞれの価値観やライフスタイルによって大きく異なります。
今回は、離婚問題に関する情報提供メディア「ツナグ離婚弁護士」を運営する株式会社Clamppyが全国の既婚者1236名を対象に実施した「お小遣い制に関する意識調査」の結果をご紹介しながら、現代夫婦のお小遣い事情に迫ります。
不満が出やすいのは「2万円未満」から。理想額とのギャップとは?

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まず注目すべきは、現在のお小遣い額に対する「満足度」です。
調査によれば、お小遣い額が2万円未満のかたでは、不満を抱える割合が30%以上に上りました。やはり、最低でも2万円以上が満足ラインの目安といえそうです。
一方で、4〜5万円をもらっている層でも不満率が高く、こちらも30%を超えていました。これは一見意外ですが、物価の高騰や予期せぬ出費など、現代ならではの支出事情が背景にあるようです。
<回答者の実際の声>
「急な飲み会が続いたり、友達とディズニーなど突然行く事になったりした際に不足してしまう事があるのと、最近は物価高で物やサービスの価格もあがってきており遊びに行くだけでも今までよりお金の減り方が早くなっていると感じる為です」(女性20代)
「初めは金額を決めていたが、足りない状態が続いて、結局自分のお小遣いを補填していたから」(女性50代)
このように、金額の多寡よりも、「使い道の自由度」や「支出の予測困難性」が満足度に影響していることがうかがえます。
「2万円未満でも満足」な人も多数。価値観がカギに

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しかしながら、お小遣いが少なくても満足している人も少なくありません。とくに、「物欲がない」「家庭を最優先に考えている」という人にその傾向が強く見られました。
<回答者の実際の声>
「自分自身に物欲があまりなく、お小遣いをもらっても使い切れていないことが多いので、現在のお小遣いで満足しています」(男性40代)
「家庭や子供のために使うことが多く、自分のものを買っている時間がないから」(女性20代)
つまり、金額そのものよりも、本人の価値観やライフスタイルが大きく影響するということです。
お小遣い制が原因で「配偶者に不満」…15%の現実

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「お小遣い制が原因で、配偶者に不満を感じたことがある」と回答した人は約15%に上りました。その中で最も多かった理由は、「相手が好きなようにお金を使っているのが不公平だから」です。
<回答者の実際の声>
「自分の給料は少ないのに小遣い以外は家計に回され、さらにその中から妻が自由に使っている。妻の給料は全額妻の口座に貯金され、自分は使うことができない」(男性40代)
「私は専業主婦で、自分の収入がないうえ、自由に使っていいお小遣いもない。夫は一生懸命働いてくれているのだから、付き合いや多少お金を使うのはいいが、やはりうらやましくなる」(女性30代)
また、「お金の使い方に口出しされた」「友人と比べて自分の額が少ない」など、制限されることで感じるストレスや他者比較の不満も多く見られました。
<回答者の実際の声>
「お小遣いに関して自分なりに計画を立てて好きなものに使っているのにそれについて小言を言われた時はちょっと不快感が募った」(男性40代)
「同じ専業主婦の友人は、美容院代も服代もスマホ代もランチ代も払ってもらっているらしく、それなのに2万5,000円ももらっていたから」(20代女性)
女性の方が不満を抱えやすい傾向に

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全体的に見ると、女性の方が男性より不満を感じる割合が高いという結果になっています。背景には、配偶者とのお小遣い額の差、あるいは納得できない使い道への不満があるようです。
<回答者の実際の声>
「相手の方が少々お小遣いが多めであることと、お小遣いの使い道が馬鹿らしいからです」(女性50代)
「自分の方が夫よりお小遣いが少ないのでやや不満だが、家計のことを考えると仕方ないと我慢している」(女性40代)
こうした感情の積み重ねが、パートナーシップに影響を与える可能性もあるため、注意が必要です。
離婚を考えた人も2%。たかがお小遣い、されどお小遣い

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さらに深刻なのは、「お小遣い制が原因で離婚を考えた人」が2%存在したという事実です。
「増額してもらえないので、結局は自分の貯金で補填している」など、一方的な我慢の積み重ねが限界に達したケースが見られました。
<回答者の実際の声>
「増額にも限度があるので、私の使っていない小遣いから補填しているため私だけが我慢している」(女性50代)
お小遣い制の導入率は約5割。子どもがいる家庭ほど採用傾向に

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調査では、約52%の家庭が「お小遣い制を採用したことがある」と回答しました。
「臨時の支出増加によって結局自由に使うことが増えた」「管理が面倒になった」などの理由が挙がっており、お小遣い制の管理の大変さや、経済状況の変化に合わせて、お小遣い制を見直そうと考えるかたが多いのが伺えます。
中でも、共働き世帯や子どもがいる家庭ほど導入率が高く、2人以上子どもがいる世帯では約81%が採用していることが明らかになっています。

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実際にお小遣い制を導入した最大の理由を聞いてみると、「浪費防止」(26%)と「家計管理の明確化」(25%)の回答が過半数を占めています。
家庭の経済状況に応じた自衛策として、うまく活用している家庭も多いようです。
<回答者の実際の声>
「キャッシュレス派で、ついお金を使いすぎてしまっていたので夫に相談して、月の上限金額を決めました」(女性20代)
「私に衝動買いのクセがあり、買った後に後悔するという事が多々ありました。お小遣い制にすることによって無駄な出費が無くなったと思います」(男性40代)