夫婦関係において、妻が夫に対してストレスを感じるのはどんな時でしょうか。
日常の些細な出来事の積み重ねが、やがて大きな不満となり、時には離婚を考えるまでに発展することも少なくありません。
弁護士相談ポータルサイト「離婚弁護士相談広場」を運営する株式会社Agooraが、夫との家庭生活にストレスを感じている既婚女性200名を対象に実施したアンケート調査では、驚くべき実態が明らかになりました。
調査データを基に、妻たちがどのような場面で夫にストレスを感じ、それが離婚意向にどう影響するのかを詳しく見ていきます。
「ありがとう」「ごめんね」言えてますか?夫へのストレス第1位は…
まず、夫との日常生活において最もストレスを感じる要因について聞いたところ、16の項目の中から複数回答で選んでもらった結果は以下のようになりました。
- 1位 ありがとう・ごめんねなどの言葉がない(35%)
- 2位 自分のことばかり優先する(32%)
- 3位 帰宅後ずっとスマホやテレビに夢中(31%)
最も多かった「ありがとう・ごめんねなどの言葉がない」という回答は、夫婦間のコミュニケーションの基本的な部分での不満を表しています。
結婚生活が長くなるにつれて、お互いへの感謝の気持ちを言葉で表すことを忘れがちになりますが、妻にとってはそれが大きなストレスとなっていることがわかります。
2位の「自分のことばかり優先する」、3位の「帰宅後ずっとスマホやテレビに夢中」も、夫の自己中心的な態度や家族への無関心さを示す行動として、妻たちの不満を買っているようです。
これらの結果から、夫の配慮不足や共感の欠如、自己中心的な態度が、妻にとってのストレスの大きな要因となっていることが読み取れます。
世代別で見える夫婦関係の違い
続いて、同じストレス要因を世代別(20代・30代・40代・50代)に分析したところ、興味深い傾向が見えてきました。
【30~40代】公平で対等な関係を求める世代
30〜40代の女性では、感謝の気持ちの欠如や不公平感など、夫婦間の関係性における心情的な不満を感じる傾向が顕著でした。
この世代は、仕事と家庭の両立を求められることが多く、夫に対してもパートナーとしての対等な関係を望む傾向が強いと考えられます。
そのため、夫の一方的な態度や配慮不足に対して敏感に反応し、ストレスを感じやすいのかもしれません。
【50代】生活実態への不満が顕著
一方、50代の女性は金銭感覚や生活習慣の違い、交友関係など、心情というよりも日常生活における夫の行動そのものへの不満が目立ちます。
長年の結婚生活を通じて、夫の生活パターンや価値観の違いが積み重なり、具体的な行動レベルでの不満として表れているようです。
この世代では、感情的な不満よりも、より現実的で実践的な問題への不満が強くなる傾向があります。
【20代】まだ顕在化していない不満
興味深いことに、20代はほかの世代に比べて項目の選択数全体がやや低めで推移しました。
婚姻期間がまだそれほど長くない20代の場合、ほかの世代に比べて不満の自覚がまだ十分に出てきていないものと考えられます。
【全世代共通】スマホ・テレビへの不満
また、「帰宅後ずっとスマホやテレビに夢中」については、全世代に共通する不満要因でした。
デジタル機器への依存は現代的な問題として、世代を問わず夫婦間でのコミュニケーション不足の象徴となっているようです。
最も深刻なストレス要因トップ3
次に、日常的に感じるストレスの中でも「最も強く感じるもの」を一つだけ選んでもらった結果がこちらです。
- 1位 帰宅後ずっとスマホやテレビに夢中(12.5%)
- 1位 些細なことで不機嫌になる・無言になる(12.5%)
- 3位 モラハラ・上から目線の言動が多い(12%)
この結果は、先ほどの日常的なストレス調査とは異なる順位となっています。
日常的に感じる頻度は高くても、最も強いストレスとしては別の要因が上位に来ることがわかりました。
1位 スマホ・テレビ依存の深刻さ
「帰宅後ずっとスマホやテレビに夢中」が最も強いストレスの1位となったことは、現代の夫婦関係における深刻な問題を浮き彫りにしています。
夫が家に帰ってきても家族と会話することなく、デジタル機器に没頭している状況は、妻にとって孤独感や疎外感を強く感じる原因となっているようです。
2位 夫の不機嫌な態度
「些細なことで不機嫌になる・無言になる」という夫の感情的な態度も、妻にとって大きなストレス要因となっています。
家庭が安らげる場所であるべきなのに、夫の機嫌に家族全体が左右される状況は、妻にとって精神的な負担が非常に大きいと考えられます。
3位 モラハラ的言動
「モラハラ・上から目線の言動が多い」も上位にランクイン。これは単なる夫婦喧嘩のレベルを超えて、妻の人格や尊厳に関わる深刻な問題として捉えられています。
前の質問の回答と合わせて分析すると、「無関心」「不機嫌な態度」「モラハラ的言動」の3要素が、妻にとって最も大きなストレス要因になることが明らかになりました。
衝撃の事実…3人に1人が離婚を検討
調査の最後に、夫へのストレスを感じている妻たちに「今後、離婚する考えがあるか」を質問したところ、驚くべき結果が明らかになりました。
- 離婚を強く考えている:13%
- 離婚する可能性はあると思う:23.5%
- どちらとも言えない・まだわからない:32.5%
- 離婚の可能性は低いと思う:10%
- 離婚は考えていない:21%
なんと、全体の36.5%が離婚の可能性を考慮していることが判明しました。これは約3人に1人強の割合で、夫へのストレスが離婚意向に直結している深刻な実態を示しています。
中間層にあたる「どちらとも言えない・まだわからない」が32.5%、離婚に否定的な回答が合計31%と、全体におおよそ3分の1ずつに分かれましたが、この3つのグループの中では「積極的に離婚の意向・可能性を想定している層」が最多という結果になりました。
30代女性の離婚意向がピークに
さらに、この離婚意向を世代別に分析すると、より詳細な傾向が見えてきました。
- 30代:40%(強く考えている18% + 可能性あり22%)
- 40代:36%
- 50代:32%
離婚意向が最も高いのは30代で、そこから40代、50代と世代が上がるにつれて減少していく傾向が確認されました。
では、なぜ30代で離婚意向がピークになるのでしょうか?
30代は女性にとって仕事・育児・家事と求められる役割の多い時期です。キャリアの重要な局面でありながら、同時に子育ての負担も大きい年代といえます。
妻がさまざまな面で忙しく負担を抱えている分、夫が非協力的であったり無関心であったりした場合、妻に与える影響も大きく、結果として離婚のきっかけにもつながりやすいものと考えられます。
また、30代はまだ人生をやり直す時間的余裕があるという現実的な判断も、離婚意向の高さに影響している可能性があります。
一方で、40代・50代になると離婚意向が減少する背景には、長年の専業主婦生活や年齢的な就職の困難さから考えられる経済的な現実や、進学などの子どもの教育費で経済的負担が大きい時期、離婚に対する世間体への配慮、長年の結婚生活での諦めや現実受容が考えられます。
これらの複合的な要因により、不満を感じながらも離婚に踏み切れない女性が多いのが実情のようです。
まとめ
今回の調査を通じて明らかになったのは、妻が夫に感じるストレスは「無関心」「不機嫌な態度」「モラハラ的言動」を筆頭に、なにげない夫の行動や態度が引き金になっているということです。
日常生活の中のちょっとした行動の積み重ねが、妻にとっては大きな不満や孤独感につながり、最終的には妻の離婚意向を深める要因となってしまいます。
夫婦双方が意識を変えることで改善できる問題も多く含まれていますので、話し合いをするなどして解決策を見つけなくてはなりません。
お互いへの思いやりと感謝の気持ちを忘れずに、対等なパートナーとして支え合える関係を築いていくことが、幸せな夫婦生活の鍵となるでしょう。