どこからが痴漢なのか?
グレーゾーンな痴漢の被害に遭った人の多くが「どこからが痴漢になるのかわからない」と言います。筆者もその一人でした。
痴漢か判断できないことで、加害者は再び世に放たれ同じ行為を繰り返すのです。被害を減らすためには、痴漢の行為について浸透させることがひとつの方法なのではないでしょうか。
日本では、痴漢を罰せられる条例と法律があります。「(※1)迷惑防止条例」と「(※2)強制わいせつ罪」です。
迷惑防止条例によって痴漢行為は禁止されており、行為によっては強制わいせつ罪となることもあります。
ふたつの大きな違いは、暴力または脅迫にあります。暴力と一言で表しても、殴る蹴るだけではありません。そこで大事なのが「同意のない状態」「故意的」のキーワード。
性的自由の侵害が高くなるほど強制わいせつ罪に値する可能性が高くなりますが、明確な基準が規定されていないため、たとえば「スカートの下に手を入れて触った」という行為でも、迷惑防止条例となることもあるそうです。
簡潔にいうと「故意に行われた行為」であるか、そうでないかです。人混みのなかで偶然接触してしまうのと、わざと触れるのとでは意味が違います。
被害者の9割が泣き寝入り
2019年に「#WeToo Japan」が公表した(※3)実態調査によると、「体を触られる」「故意につきまとわれる」「性器など体の一部を直接見せつけられる」などのストリートハラスメントを受けたことのある人は、男性3割、女性7割にも及ぶことがわかりました。
さらに福島県警が2021年に行ったアンケート(参考:読売新聞)によると、痴漢被害にあった人のうち9割が警察や駅員に通報しないという結果が出ました。多くの加害者は被害者の多くが声をあげられないという事実を把握したうえで、繰り返し痴漢行為に及ぶと考えられます。
ただし、相手が故意的なのか判断がつかない場合もあります。そのような際に、使える対処法を知っておくのもひとつの手でしょう。
「痴漢です」と言えるかわからない場合、「触れてますよ」と状況を伝えるのもいいかもしれません。そもそも本人が不快に思っている時点で、何かしら対応されるべきだと思いますが…。
痴漢被害に遭ったらどうすればいいか
痴漢被害に遭ったとき、咄嗟に声が出ないのは当たり前のことです。そうなったときに、被害者本人が助けを求めるだけでなく、周りが気づいて行動することも大事なことなのです。
被害を見つけたときには、周りを巻き込むこともひとつの手段です。気づいていても怖くて一人で手を差し伸べられないことはあります。
「助けてください」と言っても手を貸してくれない人はいるかもしれないので、周りにいる誰かに名指しで「腕をつかんでくれますか」と直接支持することで、より助けを得られやすいかと思います。
被害がなくなることが一番ですが、9割の被害者が泣き寝入りしてしまう現状があります。そういったなかで、被害者本人だけでなく周りができることを実践することが大事なのではないでしょうか。
- 『迷惑防止条例』(警視庁)
- 刑法第百七十六条:「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」
- 『公共空間におけるハラスメント行為の実態調査』(#WE TOO(2019)
- image by:Unsplash
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