こんにちは、椎名です。今回は、いつか向き合わなければならない“親との今後”についてお話しします。
僕は女性のパートナーと暮らすセクシュアルマイノリティ当事者のアラサーで、ひとりっ子。今年父が還暦を迎えたことで、いよいよ真剣に考えはじめなければ…と思っています。
パートナーの有無や自分自身の今後のライフプランに関わらず、同世代の多くがこれから直面していく課題。しかも一緒に乗り越える兄妹がいないひとりっ子となれば、不安も多いかと思います。今回はぜひ僕と一緒に考え、向き合っていくきっかけにしてみてください。
親との今後を考えたきっかけ
春が来る少し前のまだ寒さが残る季節、父が還暦を迎えました。離れて暮らしているうえ、新型コロナウイルスの流行を考えるとまだ気軽に地元とは行き来し難い状況。ちゃんとしたお祝いは改めてということにして、「おめでとう」と伝えるために父へ彼女と電話をかけました。
父は勤め先で同僚や部下たちにお祝いをしてもらったそうで、そのときにもらったプレゼントの写真を電話をかける前に送ってくれていました。
電話口でサプライズを仕掛けられたことや、プレゼントについて嬉しそうな声色で話してくれます。写真に映った美大出身の部下が書いてくれたという似顔絵や、あたたかいメッセージが詰まった色紙はとても手が込んでいて、上司として慕われているんだなと嬉しくなったものです。
まん延防止等重点措置が解除されると、早々に僕たち父を僕たちの暮らす街へ呼び、お祝いの食事会を開きました。食事と一緒にささやかなプレゼントを贈ると、気に入ってくれたようでとても喜んでくれました。
次にお祝いをするのは5年後の母の還暦か、なんて考えたときにふと父が「お前の奨学金の残り、お父さんの退職金で返済するから準備しておけよ」と言うのです。なんとなく、これから老後へ向かう父の“片付け”がはじまることを意味していると感じました。
男性同士の同性カップルを描いた『きのう何食べた?』(著・よしながふみ/講談社)のなかで、主人公のシロさんの母親は彼の両親である自分たちの老後について触れた際それを「終い支度」と表現していました。
僕もシロさんと同じひとりっ子なのでこのシーンを見ながら、両親の今後もそろそろ考えなきゃなとぼんやり自分のことを重ねていました。
両親の老い先を積極的に考えるようで、なんだか縁起が悪いような気がして本当ならばあまり考えたくはありません。だけどそれとは別に、両親のためにもそろそろ向き合いはじめてもいい年齢になったとも感じます。
実際、父は実家のことを含め、色々なことをこれから片付けていくのだと思います。そのひとつが前述にあった僕の奨学金の返済。父を起因としたトラブルが原因で、大学の学費はフルで奨学金を借りています。それを父の退職金で繰り上げ返済することに決めたそうです。
奨学金の残額は200万円を優に超えていたので、父がまとめて返してくれるのなら僕の肩の荷も降りるから、正直ありがたい。二つ返事で調べておくと伝えました。
そこでふと「これって贈与税がかかるんじゃないの?」という疑問がわきました。以前「もしも宝くじが当たったとしたら税金はかかるのか」と、捕らぬ狸の皮算用をしたことがありその際贈与税について書かれていたことを思い出したのです。
正直、相続税と贈与税の違いもよくわかっていないけれど、奨学金の名義が僕のため父が代わりに返済するとなると、父からお金を受け取ったことになるのでは?もしそうであるなら贈与を受けるにあたり、税金がかかるのではないか。
実際調べてみると、贈与税がかかるそうです。危ない。追徴課税を取られるところでした。
今回たまたま気づいたけれど、そういう税金の知識経験も僕にはあまりありません。よく考えれば、わが家は祖父母も健在のため、父は相続の当事者にもまだなっていない。今後は税金関連は逐一調べようと心に誓いました。