「お風呂を拒否していた母」に対して行ったこと
母は、現在入居している高齢者住宅に入る前、半年ほど私の家に滞在していた時期があります。そのときからお風呂を拒否するようになりました。
お風呂に入らない期間は、2〜3週間も続きました。1〜2日くらいお風呂に入らないのはまだよいのですが、それが2〜3週間も続くと体臭も気になります。
私は母にお風呂に入ってほしくて「1週間もお風呂に入らないなんて汚い!お風呂に入ったほうがいいよ!」とついつい少し強めの口調で言いました。
しかし、これが全くの逆効果。
「お腹が痛いのだからしょうがない、具合が悪いのに無理に入れというのか!」と怒る母と毎回言い合いになってしまったのです。
これでは、ますますお風呂に入らなくなってしまう…。どのようにしたらお風呂に入ってくれるのか、悩む日々が続きました。
認知症になる前の母は温泉が大好きで、昔はよく一緒に日帰り温泉などに行くこともありました。そんな母が急にお風呂を拒否するようになったことは、私のなかでは衝撃的な出来事。
特に夏は汗疹などで肌が荒れることもあり、何とかしてお風呂に入ってもらおうと必死でした。
どのようにしたら、お風呂に入ってくれるのか、本やインターネットで色々と調べてみると、次のようなアドバイスを多くみました。
まずは、母が入りたがらない理由を理解することが大切。入浴を嫌がった場合は、そのまま受け止め、「入らないとダメだ」と無理強いをすることはよくないというアドバイスを多くみました。
いままで私が母に対して言っていたことは、認知症に母にとって、よくない対応だったのです。
また、入浴に対して興味をもつように誘導するのも大切とのこと。私はまず、お腹の痛みに対する思い込みを解決することに。「病院の検査で異常がなかったこと」、「入浴と腹痛は関係ないこと」をお風呂に入る前に伝えるようにしました。
次にどのようにすれば母が入浴に興味を持ってくれるのかを、改めて考えてみることにしました。そこで、母が入浴剤が好きなことを思い出したのです。
「お気に入りだった入浴剤を買ってお風呂に入れれば、お風呂に入る気になってくれるかもしれない」と思いました。
「きょうはお母さんがお気に入りの入浴剤を入れたからお風呂に入ってみない?お風呂もぬるめにしてあるから腹痛もひどくなることはないと思うよ」と母に伝えてみました。
すると、いつもと違う反応を見せたのです。母はこのように答えました。
「そうねー。入浴剤が入っているなら少しだけ入ろうかな…」
いつもは頑なにお風呂に入ることをを拒否していた母が、少し入ってみようかなという気になった瞬間だったのです。
それ以降も「きょうは、暑かったからシャワーだけでも浴びてみたら?スッキリするよ!」「汗流そうか?」と誘ってお風呂を強制するような言い方はやめました。
その結果、毎日とまではいきませんでしたが、ときどきお風呂に入ってくれるようになってきたのです。