悪意がなくても…(40歳/自営業)
「ヤバいママ友で思い出すのが、小学校のPTAで知り合ったママ。
部会では積極的に発言するし活動も熱心にやっているし、頼りになる人だなと最初は思っていました。
ただの世間話をしているときも常識的なことを言うので、安心してうちの家庭の事情を打ち明けていました。
我が家は高校生の長男に持病があり、生活に大きな支障があるほどではないけれど長時間の活動は大変で、学校生活には制限があります。
それについて『仕方のないことだし、本人は前向きに楽しんでいるの』と軽い気持ちで話していたのですが、この話を彼女はPTAのほかの人たちに勝手に伝えていて。
部会で集まったとき、仲良くなったママさんから『長男くんの様子はどう?』と言われてびっくり。どうして知っているのか尋ねたら『○○さんから聞いて』とわかってショックでしたね。
このママさんには心配してくれることに感謝して改めて事情を話し、会が終わってから彼女をつかまえて『うちの長男のこと、みんなに話したの?』と確認しました。
『え、言ったらダメだった?』と彼女は驚いたように私を見て、正直に『我が家のプライバシーだからやめてほしい』と言ったら『そんな大げさな』と返す姿にふたたびショックを受けました。
よその家庭の事情を吹聴することに罪悪感を持つ様子はなく、むしろ『心配しているのに』と不満そうな顔をしていて、『その気持ちはありがたいけれど、とにかく長男のことを人に話すのは絶対にやめてね』と念を押すのが精一杯でした。
こういう人もいるのだとわかったのは収穫で、自分のしていることがプライバシーの侵害になると考えないし、勝手に話された私の気持ちも想像しない、悪意なくやっていることが怖かったですね。
そういえば、以前ほかのメンバーさんについて『あそこは旦那さんが○○で働いているから』『お子さんは○○中学よね』と情報を口にしていたのを思い出しましたが、普段からそうやって人の家庭について話すことに違和感がないのですよね。
政治や育児の制度などの話はまっとうな意見を持っていて、会での発言も客観的なわかりやすいものが多かったけれど、そのことと素の人間性はまた違うのだとわかりました。
彼女とはそれ以来距離を置いていますが、自分の家庭についてうかつに人に話すのは本当に危険なのだと勉強になったし、人を見るならこういう点も注意したほうがいいと肝に銘じています」(40歳/自営業)
家族の状態について打ち明けるのは、その人が「こちらのプライバシーを尊重してくれるだろう」と思うからですよね。
聞いたことがどんな内容であっても胸のうちに収めるのが尊重であり、「心配だから」という自分だけの正当性でほかの人に話してまわることは、打ち明けてくれた相手の気持ちをないがしろにしていないでしょうか。
病気のようにデリケートな事柄は、「〇〇さんのところは」と一方的に聞かされる側も気まずい思いをすることがあり、他人との話題にするのは控えるのが正解です。
その自分に違和感がないとしても打ち明けた側はそうではないと知るのが対等であり、吹聴について指摘されたら「大げさな」ではなくまずは自分の振る舞いを省みる姿勢を持ちたいですね。
悪意なく他人の情報を漏らす人はたしかにいます。自分がそうならないこと、そして抱える事情についてうかつに人に話さないことが、身を守る第一の対策といえます。
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