20歳年上の夫と高校1年生のマイペース息子と暮らしている、アラフィフ主婦ライター・塩辛いか乃です。
子どもを産んだ瞬間から、私たちは「未知の生き物を、いっちょ前の成人に育てる」というミッションを背負います。
そして子どもは生身の人間で、マニュアルはさっぱり使いものにならず、正解もないのでまったくの手探り。
なのに「その子の未来への責任は、ある程度自分にかかっている」というプレッシャーを抱えながら育てていくことになります。
わたしもいまでこそ息子が16歳になって、とりあえず放置しておいても生きているという状態にまではきましたが、それでも息子の進路など悩みは尽きません。
だけどやっぱり、振り返ってみると、息子の幼児期は一番悩みが深かったなぁと思います。
息子は1歳のころから警戒心が強く、知らない場所が大嫌い。息子を遊ばせようと同じような年齢の子どもがいる場所に連れて行くと、周りの子どもは楽しそうにはしゃぐのに、息子だけわたしにくっついて帰りたいと大泣きするような子でした。
そんな息子を育てていて、いちばん悩んだのが「幼稚園選び」でした。
そのころは周りと比べて、自分の子が「変」なんじゃないかと不安で仕方がなく…。誰かに相談しても解決策はなく、先が見えずに八方ふさがりの闇のなかにいたような気持ちでした。
いまとなっては「そこまで悩まなくても大丈夫だったかな」と思うこともありましたが、当時は本当に深刻に悩んでいて、その選択が息子の未来を左右してしまうのではないかと恐ろしかったのです。
だからこそ、いまそういった悩みに直面している人の助けになればと思い、当時のことを振り返ってお話します。
警戒心の強い息子に戸惑う子育て
息子は1歳を過ぎたころから、知らない場所や同じくらいの年齢の子がたくさんいる場所を嫌がるようになりました。
妊娠中に知り合ったママたちと息抜きがてら、子どもを子育て広場のようなところや、近隣の保育園の園庭解放などに連れて行くのですが、ほかの子どもたちが大喜びではしゃいでいる一方で、うちの息子だけわたしにピッタリくっついて「帰りたい!」と泣き叫ぶのです。
地域の相談役の人などには「ママがいろんなところに連れて行けばだんだん慣れるわよ」と言われていましたが、出かければ出かけるほど、家を出るのを嫌がるようになって。
どんどん警戒心が強くなり、「きょうはどこに行くの?」と不安げに聞くようになってしまいました。
行っても大丈夫なのは、いつも行くスーパーだけ。予告せずにつれて行ってみようと近所の園庭解放に向かおうとすると「いつもの道と違う!」と勘付かれてまたギャン泣き。
いつか慣れてくれるのではと期待する半面、子どもに嫌なことをさせているような気持ちになり、家にこもりがちになってしまいました。
知らない場所に行くのが大嫌いな息子。「この子は幼稚園に通えるんだろうか…」とずっと心配していました。
幼稚園入園の歳になり…
そうこうしているうちに息子は3歳になり、幼稚園選びの時期がやってきました。周りのママ友と話しても、幼稚園選びの話でもちきり。
「息子に合った幼稚園を見つければ楽しく通えるのかな」と淡い期待を抱きながら、わたしも近所のママ友と一緒に、子どもを連れて幼稚園見学に行きました。
けれどやはり、状況は変わりませんでした。周りの子は遊具にまっしぐらで夢中で遊んでいるのに、息子だけは帰りたいと泣き叫び、わたしにくっついて離れません。
息子を観察していると、小さい子がたくさんいる場所がダメなようなので、できるだけ少人数の幼稚園を見に行ってみたり、教育方針がおっとりやさしい場所を見に行ったり…とにかくいくつもの幼稚園に見学に行きましたが、息子の反応はどこでも同じ。
「ここなら大丈夫」というところが見つかればと思いましたが、なかなか見つかりません。