男女の賃金格差
2023年6月に世界経済フォーラムが発表した2023年のジェンダー・ギャップ指数。日本の総合順位は、146カ国中125位と過去最低位の結果でした。
ジェンダーギャップ指数を図る項目のなかには、経済面、「同一労働における賃金」というものがあり、同企業・同団体内で同一の仕事をしている場合のに同一の賃金を支給するという考え方をもとに図っています。
現状、日本の男女間賃金格差は長期的に見ると縮小傾向にあるものの、令和3(2021)年の男性一般労働者の給与水準を100としたときの女性一般労働者の給与水準は75.2という状況になっています。(参考:「男女間賃金格差 我が国の現状」/内閣府)
男女の賃金格差も、セクシュアルマイノリティに大いに関係があります。
たとえば、住宅の問題。セクシュアルマイノリティ(特にパートナーの身体の性が同性)の場合、賃貸住宅が借りにくい(貸してもらいにくい)という問題があります。
そこで、「賃貸住宅を契約することが難しいならば…」と購入を検討するとします。
日本の男女間の賃金格差を基準に考えると、身体が男性同士のカップルよりも身体が女性同士のカップルの方が収入が低く、場合によっては購入が困難になります。
生活を営んでいくなかでも、生活費は数字のうえでは男性同士のカップルの方が収入が高い。男女の待遇の差(賃金格差)がセクシュアルマイノリティの暮らしも影響を受ける例のひとつです。
考え方によっては、男性の収入の高さのなかには、昇進をしなければならない仕事第一の考え方や残業を断りにくいといった、本人が望んでいない働き方の結果も含んでいるかもしれません。
性別由来の難さ
「もちろんセクシュアルマイノリティだからこそ」という生き難さは確実に存在していて、男女の性別由来の生き難さを解消したからと言ってセクシュアルマイノリティの生き難さすべてがなくなるわけではありません。
しかし男女の性別由来の生き難さは共通している部分も多く、その部分の解消はマジョリティにいるかたたち以外にも影響を及ぼすものと感じていただきたくこの記事を書かせていただきました。
たとえ「自分の周りでセクシュアルマイノリティの人はいない」と思っていても、カムアウトをしていないだけで当事者のかたはいるかもしれません。
男性、女性それぞれの問題について触れるとき、そんな身近にいるかもしれないマイノリティについても少しだけ考えていただければと思います。
- image by:Shutterstock
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。