20歳年上の夫と高校1年生のマイペース息子と暮らしている、アラフィフ主婦ライター・塩辛いか乃です。
今年で50歳の私と、すでに70歳を迎えた夫。わたしたち年の差夫婦のリアルライフをお話しします。今回は、夫と海外旅行に行ったときのお話です。
わたしと夫の「英語力」
英語が好きで、英文科を卒業したわたし。留学経験はないのでペラペラではありませんが、海外旅行などでは英語で困ることはほとんどありません。
一方20歳年上の夫は、英語がひとこともしゃべれません。昭和28年生まれの教育がどういったものだったのかわかりませんが、少なくともいまのように英語教育に熱が入っていたわけではなかったと思います。
英語をしっかり学校で学んでなくても、カタコトくらいはわかりそうなものですが、果たして話さないのか、本当に話せないのかわかりません。というのも、知り合ってから一度も英語を話すのを聞いたことがないんです。
言葉に不安があるため自ら海外に行こうと言うことはない夫とは違い、学生時代はひとりでバッグパックを背負って、現地で気ままに旅程を組むような旅をしていたわたしは海外旅行に行きたくてたまらなくなり、新婚旅行にタヒチを提案しました。
海外が苦手な夫も、滞在型のビーチリゾートには興味があったようで快諾。新婚旅行でしか味わえない水上コテージを予約して、ウキウキしていました。
夫が英語が苦手なのはわかっていたので、旅行日程などの調整はタヒチ専門の旅行会社に問い合わせてわたしがすべて手配。
現地はフランス語圏ですが、観光ホテルは英語が通じるそうなので、現地ではすべて通訳をするつもりではいました。
ですが当時は、「夫はいくら英語が苦手とはいえ、ハローとかサンキューとか、オッケー?とか、多少のことは話せるだろう」と思っていました。
日本にこれだけ英語があふれているのだから、それくらいのコミュニケーションならだれでも取れると思い込んでいたのです。
夫の通訳もすることに…
さて、ワクワクしながら準備したタヒチ旅行。ずっと憧れていたタヒチはまさに「楽園」という名がふさわしい透明度の高いブルーの海が広がる夢のような場所でした。
チェックインすると、丁寧に手入れされた広々とした敷地内に、コテージが点在しています。
わたしたちは水上コテージに案内され、部屋に入ると「わぁ」と歓声を上げてしまうほど素敵な場所。天蓋付きのベッドに、バラの花びらでハートが描かれた室内。食べきれないほどのウェルカムフルーツが用意されて、もう夢見心地でした。
わたしも夫もすっかりテンションが上がり、さっそく敷地内を散策してみたり、水上コテージから海に入ってみたり大はしゃぎ。
海のなかに広がるサンゴ礁、そして美しい熱帯魚たちにうっとりしました。ここの周辺に住む魚たちはすっかり人間に慣れていて、朝食の残りのフランスパンをちぎって水上バンガローから投げ入れると、たくさんの可愛い魚たちが寄ってきます。
こんな楽園に1週間も滞在できるなんて、夢のような気持ちでした。
最高の景色と最高のホテルに浮かれていた私ですが、ご飯を食べに行くにも、市内に出るにも、すべてわたしが夫をエスコートしなければならず、それは大変でした。
わたしも英語の勉強はしているものの、実践的に話す機会がないので、言いたいことがなかなか言葉に出てきません。
頭をフル回転させてホテルスタッフに市街地までの行き方を聞いたり、送迎付きのレストランへの手配をしたりと、ツアーコンダクター役もしなくてはいけないので、意外と忙しいのです。
幸い、フロントのポリネシアンスタッフはとてもフレンドリーで、何か聞いても親身に接してくれて助かったのですが、送迎つきレストランの迎えがなかなか来ないと「まだ来ないの?聞いてきて」と言われてわたしが聞きに行くはめになったり…自分が聞きたいことだけではなく、夫が聞きたいことも通訳しなくてはいけません。
夫は自分が直接話すわけではないので気楽なもので、日本語ですら聞きにくいことをわたしに聞いてくれと言うので困ってしまいました。