成人すれば、親元を離れ社会人として独立した生活を送るのが一般的な大人の在り方ですが、30代や40代になっても実家から出ず、子ども時代に過ごした部屋で暮らすのがいわゆる「こどおじ(子ども部屋おじさん)」「こどおば(子ども部屋おばさん)」です。
仕事もせず親の収入に頼るなどの特徴がありますが、世間知らずのまま年齢だけ重ねるので人間性が成長せず、幼稚な自己愛で周囲を振り回します。
きょうは「子ども部屋おばさん」がどんな在り方をしているのか、実例をご紹介します。
親がいなくなる「この先」を考えていない独身女性
両親と飼い犬とともに暮らすルミさんは、45歳独身。仕事は、「登録している派遣会社から連絡が来たらする」程度で収入は不安定ですが、そんな自分に特に問題があるとは思っていないそうです。
「親がいるから生活には困らないし、いつも無職ってわけじゃないし、何がいけないの?」と平然とした顔で言うのは、「この自分で誰にも迷惑をかけていない」と思っているからです。
ルミさんが言うには、高齢になった母親に代わって家事をすることもあるし、仕事に出かける父親のために朝はお弁当を作るし、「ちゃんとやっている」と思っています。
生活の実態をよく聞くと、そのお弁当作りは毎朝ではなく自分の気が向いたときにやり、普段の家事は定年退職を迎えて専業主婦となった母親がほとんどをやっていて、自分が率先して家族を助けるような姿はありません。
「だって、子どものころからそうやって生活してきたもの」と、ルミさんは両親の在り方が「自分が大人になったいまも変わらず続くもの」と当然に思っているようでした。
ルミさんではなく住んでいる家全体の生活費について尋ねると、首をかしげて「さあ、よく知らない。母の退職金と父の稼ぎでやっているから」と、把握していないことに違和感を持っていませんでした。
これも「子どものころからこうだから」で、自分が関わる部分とは思っていないことがわかります。
たまに行くという派遣の仕事で得た収入は、「その半分を生活費として入れている」のでそれでいいと思っており、自分が家計を助けるという意識はありません。
ルミさんの「この自分で迷惑をかけていない」の思い込みは、「家庭と生活の維持は親がやって当たり前」という意識が根本にありました。
避けられない変化
そんなルミさんが「困っている」と言うのが、両親から「ちゃんと仕事をして」とつかれることでした。
退職金はいずれ尽きるし父親も働けなくなる、国からもらう年金では生活ができないから、「自分の面倒は自分でみてほしい」というのが、ご両親の要望です。
「そんなこと言われても、急には変われないでしょう。派遣の仕事だってしたくても連絡がないとできないし、いまさらアルバイトなんて大変だし。子の面倒をみるのは親の仕事で、親がちゃんと考えてくれなくちゃ」と肩をすくめて話すルミさんは、母親からお小遣いの額を減らされたことに怒りを持っていました。
ルミさんは、親がいなくなる自分の将来について「財産があると思うから大丈夫」と言いますが、その「財産」がいかほどのものかも知りません。
自分がいまの過ごし方を変えることに抵抗があり、「子どものころからお金に困ってきていないから」、今後も親が何とかするだろうと考えています。
いまはそうやって何でも親のせいにして生きていられますが、両親は年老いていくので生活力は低くなり、介護なども生まれる可能性はあります。
ルミさんが考える「親が負担して当然のこと」は、どれだけ抵抗してもいずれ変化は避けられないものであり、そのとき自分はどうなるかを想像できないのは、世間を知らないからです。
悪化していく親との関係や尽きる生活費など、ルミさんはこれから「その自分」で現実と立ち向かっていかなければいけません。
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