「水着で隠れる部分」だけでは不完全な理由
とはいえ、これまで一部の人たちにしか知られていなかった「プライベートゾーン」という考え方、「自分の体を大切に守る」という意識づけが学校レベルで実施されるようになったこと自体は歓迎すべきことだと私も思っています。
ただ、文科省が想定しているプライベートゾーンは、「水着で隠れる部分」という範囲になっているのが残念な点。
これはつまり、女の子の胸と性器やお尻、男の子の性器やお尻だけということで、口と、男の子の胸は含まれないということ。
たしかに痴漢などに狙われやすい部分としては、それだけ押さえておけばとりあえず事足りるという考え方もあるでしょう。
でも、もっと本質的なことを言えば、全身のなかの「特別な場所」として、口も、男の子の胸も含んだほうがいいと私は考えています。
おそらく男の子の胸が除外された背景には、「男性の胸は性的な部分ではない」という常識的な見方があるからでしょう。何しろ女性と違って、隠さなくても問題ないとされているわけですから。
その意味では、口もキスをするとき以外は、性的なものとして扱われないから除外されたのでしょう。
「プライベートゾーン」の共通点とは?
さて、では私が性別にかかわりなく「口」「胸」「性器」の3箇所を「守るべき特別な場所」として教えている根拠は何なのかといえば、この3つは特に「心とつながりやすい場所」だから。
みだりに触られると、「自分の内部に侵入されたような感覚」が起こりやすく、体の傷以上に、心の傷が生まれやすいのです。
最近は男性の間でも、トランスジェンダーではないけれど、下着としてブラジャーを着用する人もいるのだとか。
この現象からみても、やはり性別にかかわらず、誰の胸も「守られるべき場所」として扱ってあげるのが適切なのではないでしょうか?
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