モラルハラスメントは、相手の自尊心を一方的に踏みにじり精神的に追い詰める害悪。
自分や相手がそんなモラハラ気質だと気がついたとき、「モラハラは治るのか」を考える人は多いはず。
相手が自分と等しく感情や自尊意識のある人間だと思わないからできるのがモラハラであり、それを変えることは可能なのでしょうか。
自分やパートナーのモラハラ気質の治し方について、お伝えします。
モラハラはそもそも「治る」もの?
「お前は駄目な人間だ」「こんなこともできないのか」など、相手をなじり貶める言葉を平気で吐く。
相手の態度が気に入らないと壁を殴ったりドアを乱暴に閉めたり、怒りを見せて自分に従うよう追い詰める。
モラルハラスメントをする人は、威圧的な態度を取る自分に違和感がなく、「そうさせる相手が悪い」と当たり前に思っているのが特徴です。
パートナーがそんな人間だと悲劇的な関係しか持てませんが、自分がモラハラ気質の場合も相手から逃げられる一方になり、孤立を避けられません。
他人とうまくいかない自分やパートナーを見て、「モラハラを治したい」と前向きに思う人は多いですが、目の前の相手を踏みにじることをためらわない思考や考え方を変える意識が必須です。
それは「相手にも自分と等しく感情や自尊心があり、対等な存在」と改めて受け入れる思考であって、いわば「したに見ていた人間」を同じ目線に持ってくることは、抵抗や反発を避けられず決して容易ではありません。
モラハラを治すには、何よりもまずそれをする自分の異常さを正しく知る姿勢が必要で、それまでの自分を振り返り、反省する勇気を持てるかどうかが重要になります。
具体的に、モラハラの治し方にはどんな方法があるのでしょうか。
パートナーや自分のモラハラ気質はこうやって治す!
1.相手の気持ちを想像する
自分がモラハラ気質でそれをやめたいと思ったときは、「これをすると相手はどう思うか」を常に想像することで、一方的に相手を傷つける態度を減らしていけます。
それまでは相手の気持ちなどどうでもよく、自分が満足するために相手を痛めつけていたと自覚することが大切です。
嫌な感情のまま相手を馬鹿にしたり貶めたりすることを、それをする前に相手の状態に立って考える堪えが、モラハラをやめる意識を維持します。
相手がモラハラ気質のときは、「そんなことを言われると悲しくなる」「威圧的な態度で物音を立てられると怖くなる」と、自分の感情をまっすぐに伝えることで「こちらの気持ちを考えて」というサインを出します。
それを言えば相手はますますモラハラを強めてくるときでも、「No」を伝え続けることで自分を守ることは、間違いでは決してありません。
「そんなやり方は受け入れない」と示すことが、モラハラをやめてもらうためには欠かせません。
2.相手が嫌がったときは「まずやめる」ことが第一
パートナーの意思を汲まなかったことで相手が不機嫌になり、こちらを罵倒したり人格否定に走ったりするときは、「やめて」と伝えます。
拒絶の姿勢を見せたうえでパートナーがまだモラハラが続けるのであれば、それは健全な関係を諦める立派な理由であり、別れを考えるのが正解。
「治らないモラハラ」はこちらの気持ちをいっさい考えない、自分の正しさにしがみつく人のことで、こちらが拒絶を示したら「まずやめる」のが対等な関係なら当然のこと。
自分のモラハラ気質を治したいときも同じで、相手が嫌がったり拒否を示したりするときは、「やめる」という選択肢を当たり前にすることが最初です。
自分を遠ざけるような相手の態度に余計に怒りが募っても、それはどこまでも自分の事情でしかなく、相手には相手の感情があります。
どんな関係であれ「相手は自分よりしたの存在」とは決してなりません。
その自覚をしっかりと持つことが、自分のモラハラ気質を治す意識も、パートナーのモラハラ気質を受け入れない正しい理由にもなると思いましょう。
3.自分の過去の振る舞いから逃げない
自分のモラハラ気質を治したいと思ったとき、これからの言動を変えていくのはもちろんですが、その過程で相手から「前はこうだった」と過去の振る舞いのまずさを指摘されることがあります。
そこでまた「こっちは変わろうとしているのに」と怒りを覚えるとモラハラを繰り返すことになり、「相手はそれほどの痛みを受けていたから忘れていないのだ」と正しく受け止める器を持ちましょう。
パートナーのモラハラ気質を治したいときは、「あなたは昔からこうだ」と過去の振る舞いを過度に持ち出すと余計にかたくなになることが多いので、「これからはこうしてほしい」と未来に目を向けた言葉が効果的です。
相手が反省する過程で「前はこうだったけど、いまは違うね」と前向きな比較で改善を客観的に伝えるのも、いい手段。
過去の振る舞いをなかったことにするのではなく、反省と改善の材料として見ることも、モラハラを繰り返さない姿勢を作ります。
4.「何が嫌なのか」を勇気を持って話し合う
パートナーがモラハラ気質の場合、こちらが自分の態度を嫌がる姿そのものに怒りを覚えることが多く、こちらのどんな感情も否定してきます。
自分がモラハラ気質のときも同じで、相手が自分に嫌悪を見せてくると「生意気な」などと言ってその状態を受け入れることはしないはずです。
モラハラを治すには、この「相手に嫌悪される自分の状態」について正しく知る姿勢が欠かせません。
自分を嫌がる相手が悪いのではなく、自分の何が嫌なのか、どんな振る舞いが相手を傷つけているのかをきちんと知ることで、「これからはそれをしない」という選択肢が生まれます。
自分がモラハラ気質のときは、勇気を出して「何が嫌なのか」を話し合う機会を持って、相手にも心を開いてもらいましょう。
パートナーがモラハラ気質のときは「ふたりの状態について話したい」と伝え、それを拒否するのなら相手には自分を改善する気はない、と受け止めるのが正解。
モラハラを治してもらうことは諦めることも、何よりも自分のためと言えます。
5.「自分はどうありたい」のかを考える
モラハラの治し方でもっとも重要なのは、「自分は本当はどうありたいのか」を知ることです。
「相手をしたに見て貶めるような言葉を吐く自分」は本当にそれを望んでいるのか、それで悲しい顔をして黙り込む相手を見て幸せだと本当に思うのか、「目の前の人間は自分と等しく感情と自尊心のある存在」と考えれば異常であることがわかるはず。
つらい結末では、自分はどうありたいのかを考えた末に相手を愛してはいなかった、大事に思える存在ではなかった自分に気がついて離別を選ぶケースもありますが、健全な愛情で結ばれていないのなら終わるのがお互いのためです。
パートナーがモラハラ気質の場合も、「自分は本当はどうありたいのかを考えてほしい」と伝え、いまの自分について改めて振り返る機会を持ってもらいます。
それを嫌がる、考えた末に「いまで満足している」と口にするのなら、モラハラが治る見込みはありません。
モラハラを治すにはいまの自分に違和感や疑問を持つことが最初であり、パートナーがそうならないのであれば、自分にできるのは「そのあなたを受け入れることはできない」と伝えることだけです。
人は対等であり、それを相手が避ける以上は健全な愛情が育つ関係は築けないことを、忘れてはいけません。
モラハラを治したいときは、「変化」を恐れないことが大切
極端な言い方をすれば、モラハラが治るかどうかは相手(自分)しだいであり、当人がその自分を「悪い」と認めない限り変化は起こりません。
相手や周囲がどれだけその状態に嫌悪感を持っても、自分自身が異常さに気がつかないと「変わろう」なんて意識は生まれません。
自分のモラハラ気質なら、人を傷つけてきた痛みに堪えながら成長していけますが、他人のモラハラ気質はどこまでも相手の問題であることも、覚えておきましょう。
「モラハラを治したい・治してほしい」と思うときは、どちらであってもまず自分の態度に変化が生まれます。
その結果、相手が嫌になって自分から離れていく結果になっても、「正しくありたい」と思う自分に悲しむ必要はなく、「相手には相手の選択があるのだ」と境界線を引いて受け止めることが大切です。
本当に愛情や信頼があれば、目の前の相手を自分と等しく対等な存在と受け入れることができるはず。
モラハラの改善で関係に変化が起こることを恐れず、自分の「こうありたい」をしっかりと軸に据える強さを持ちたいですね。
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