こんにちは。韓国在住6年目、日本語教師でライターのHAZUKIです。在韓ならではの生きた韓国情報をお届けします。
今回は筆者が韓国に来て感じた「韓国の女性と男性の間の対立」についてお話しします。
外国人の立場から見ると、韓国は女性と男性の対立が激しいです。
何か事件があるごとにこの問題が浮き彫りになりますし、社会自体がこの対立を煽っているように感じるときもあります。
筆者なりに考えてみると、この対立には始まりがあります。
女性のための「省」がある
韓国は「儒教の国」です。儒教では男性が女性を守る、言い方を換えると女性が男性よりも弱い立場にありました。
しかし、社会の発展とともに女性の社会進出が増え、社会的地位も向上。「女性が差別なく生きられる社会を作ろう」という社会意識が生まれました。
2004年には「女性家族部」という、日本にはない女性のための省が作られました。
この「女性家族部」、始まりはとてもいい志を掲げて作られた省だったのですが、最近は女性に有利すぎる政策、男性に不利な資料を作ったりすることで「男性に対する逆差別だ」という意見もあがっています。
現大統領はこの「女性家族部」を廃止することを約束していましたが、いまだにこの省はなくなっていません。
日本人から見た韓国の女性に対する態度
筆者が韓国に暮らし始めたのは、6年前の2018年です。
当時、筆者が韓国に来て感じたのは「韓国は女性に対して優しい国」でした。
女性という理由で男性が重い物を持ってくれたり、配慮してくれる個人レベルが高かったり…社会全体で女性が大切にされていることを感じまし た。
たとえば、駐車場にいくと入口の近くに「女性専用駐車場」があります。
これは妊婦でなくても「女性」という理由だけで駐車できます(ほかの駐車場よりもスペースが広いです。理由を聞くと「女性は運転が苦手な人が多いから」だそうです)。
また、女性が夜安全に歩けるように「女性のための道」があります。
これ以外にも、どうしても社会が女性優先の雰囲気があり、会社で男性と女性の問題があったり、電車のなかで男性と女性のトラブルがあると、どうしても女性の意見をまず聞く雰囲気です。
正直に言うと、女性の筆者から見ても「韓国の男性は可哀想」と感じます。こんなことを言ったら、韓国の女性たちにかなり怒られそうですが…。
さらに深刻になると男女間の対立
最近、こんな事件がありました。ある軍訓練兵が、軍規訓練中に亡くなった事件です。(参考:KBS News公式YouTube)
彼は入隊して9日目に訓練中に倒れ、病院に運ばれたものの、2日後に息を引き取りました。
この訓練兵は、生活館で騒いだという理由で、完全装備のままダッシュや腕立て伏せをさせられていたそうです。
周りの軍人は「本当に死んでしまう」「すぐ病院に行かせるべきだ」と言いましたが、上官はそれを無視したという事件でした。
亡くなったときは、あまりにも過酷な訓練のせいで筋肉が溶けていたそうです…。
問題は、その後で周りの軍人たちはずっと取り調べを受けているにも関わらず、上官は「心理的ストレスを受けた」という理由で療養中ということ。
最終的に、中隊⻑と副中隊⻑は業務上過失致死と職権乱用の疑いで正式に立件されましたが、殺人の疑いは認められませんでした。
後からこの上官が女性だったということが明らかになり、「上官が男性だったら同じ罰になっていたか?」「人が亡くなったのに、女性上官を守っている政府」というふうに憤慨した人が多かったです。
女性だから療養させているのか、女性だから殺人の疑いが認められなかったのか…真実はわかりませんが、このような見方がされてしまうのも、男女間の対立が激しいからこそではないでしょうか。
このような問題が起きるたびに、女性と男性の対立がさらに深刻になっていきます。
韓国は少子化が社会問題になっており、2023年の出生率は0.72でした。(参考:ニッセイ基礎研究所)
少子化の問題を解決するには、この男女間の対立を解決する必要もあるのではないかと思ってしまいます。
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