20歳年上の夫とマイペース高1息子と暮らすアラフィフ主婦ライター、塩辛いか乃です。
若いころは、海外に憧れてバッグパッカーで一人旅をしていたわたし。
だけど子どもが小さいころは気ままな旅とは縁遠く、帰省や家族旅行が中心に。
それはそれで小さい子どもと一緒だから楽しめるレジャーを満喫できたので、いい経験でした。
ですが、子どもが徐々に大きくなってきて「いかにもお子さま」な場所は卒業し、だんだん息子はスマホばかり見ているお年頃に。
観光地に興味ゼロで、わたしが行きたい場所でも「早く帰ろうよ」とかせっつかれながらの観光で、少しずつ「ひとりでゆっくり観光したいなぁ」という思いが募っていきました。
国内旅行を躊躇(ちゅうちょ)していた理由
そんな折にコロナ禍に突入。しばらくは動けない状況でしたが、徐々に人込みを避けた旅なら大丈夫そうだという空気感になり、「どこか行きたい」と思う自分がいました。
若いころは国内に全然興味がなく、海外ばかりに目が行っていた私ですが、神社を好きになってから、日本にもたくさん行ってみたいところが出てきました。
それに、コロナ禍がいつ収まるかわからないいまは国内限定だけれど、海外にまた自由に行けるようになったら、きっとわたしは海外に行きたくなるだろう。だったらいまのうちに日本の旅をしてみたいな、とも思いました。
ですが、国内旅行はちょっと躊躇(ちゅうちょ)していました。
なぜならわたし、いままで海外旅行もほとんどひとり旅だったのですが、朝から晩までひとりぼっちは好きではないのです。
人に気を遣うことなく自分の観光したい場所を思う存分訪れたいのでひとりは気楽なのですが、夜ご飯などはひとりで食べるのがあまり好きじゃない。
海外ではバッグパッカー御用達の安いゲストハウスに宿泊すると、リビングでいろんな人と知り合えるのが楽しくて病みつきになっていました。
世界のいろんな場所をまわってきた旅の仲間と知り合い、一緒にご飯を食べに行って旅の情報交換をしたり、すでにその土地に詳しい人においしい店を紹介してもらったり、宿の店主とあれこれおしゃべりしたりするのが醍醐味でした。
国内はわたしの知る限り、そういう雰囲気じゃない。
ホテルや旅館でひとりポツンと過ごすのは、なんだかつまらないなと思っていました。
それとわたし、この歳になってもオバケが怖いんです。旅館でひとりで寝るのとかめちゃくちゃ怖い。
なので一人旅ではできるだけ壁が薄いほうが、人の気配が感じられていいんですよね(笑)。そういう意味でも、海外のゲストハウスはベストでした。
国内で一番行ってみたい場所
日本にそういうところがないかなぁと考えていたとき、ふとあることを思い出しました。
コロナ前、わたしが子育てに明け暮れている間に、日本のインバウンドが急増し、外国人観光客がたくさん日本を訪れるようになっていましたよね。
あれだけ多くの外国人が来ているなら、日本でもゲストハウス的なものができているかもしれない。
気になる場所をいくつかピックアップして、その近所にわたしが思い描くようなゲストハウスがあるかどうか探してみました。
すると意外と出てくる!やはりインバウンド需要で、古民家をリノベーションしたゲストハウスが割とあることに気づきました。
お値段も、ゲストハウス価格で1泊5000円程度。これなら気軽に行けるかも!だんだん現実的になってきました。
まだタイミング的にもそう何度も行けないだろうと考え、「国内で一番行ってみたい場所はどこか」を考えてみました。
すると、ずっと昔から一度は行ってみたいと思っていた徳島県の大塚国際美術館が思い浮かびました。
昔から西洋絵画が好きで、独身時代は美術館によく足を運んでいた私。
大塚国際美術館は、徳島県鳴門市の砂を使った陶板に、世界中の名画を焼き付けた「すべてレプリカ」の美術館ながら、日本中の美術館のなかで満足度が高い場所のひとつだと聞いていました。
昔は車の運転ができなかったので、辺鄙(へんぴ)な場所での一人旅は難しいと思っていたのですが、息子の塾送迎でペーパードライバーを卒業したわたしは、レンタカーという選択肢も取ることができるようになりました。
航空券を調べてみると、コロナ禍で需要が落ち込み、激安バーゲンをしているじゃないですか!しかも、連休で片道7500円!これは行くしかない!
夜にわたしがいないと嫌がる息子を置いて旅に出るのは少し後ろ髪をひかれましたが、中高一貫校で高校受験はなく、大学受験期になったらまた一人旅どころじゃなくなるだろうと、思い切って夫にお願いして一人旅に行くことを決心。
チケットを取ってしまえば行くしかない!もし行けなかったとしても、往復15000円の損失ならいいや!と購入しました。
旅程は、3泊4日。徳島にずっといるのもな…と思ったので徳島空港から入り、香川から帰ることに。
「とりあえず讃岐うどんでも食べようかな」的なノリでノープランのまま、大塚国際美術館だけ行けたらいいかなと。
目をつけていたゲストハウスにメールで問い合わせると、オーナーさんはとても丁寧なお返事をくれました。
わたしはレンタカーで行くので問題なかったですが、空港まで送迎もしてくれたり、自転車のレンタルもしてくれるとのこと。
おいしいお店を事前に聞いたりして、旅の準備は進みました。
ちょうどそのころ、独身時代の会社の同僚に「大塚国際美術館に行く」と伝えたところ、彼女も大塚国際美術館が好きで何度も訪れていると判明。
「香川に知り合いがいるので訪問がてら行こうかな」と言っていたので、現地で1泊だけ一緒に行動することにしました。
導かれるように、徳島へ
いよいよ当日。友人と羽田で待ち合わせていざ徳島へ。彼女とゆっくり話すのも久しぶりで、旅の気分はあがります。
あっという間に現地に到着し、空港からレンタカーで「鳴門のうずまき」を見に。
天気もよくて気持ちがよく、観光汽船に乗って鳴門のうずを見ながらキャーキャーと騒ぎ、おいしいと聞いた和食店で刺身定食をいただき、宿へ。
宿のリビングには、宿泊客が数人集まっていました。わたしと友人もそこに入って談笑。ゲストハウスってやっぱり楽しい。
翌日は、いざ大塚国際美術館へ。
初めて訪れるわたしは最初から全部見ますが、友人は朝は別の知り合いのところに行き、午後から見たいところだけ見るのでバラバラで行動。閉館時間に待ち合わせてじっくりと鑑賞しました。
大塚国際美術館についてはまた機会があればじっくりと紹介したいですが、満足度が高いのは納得の内容!
広い土地に贅沢に建てられた美術館内の作品は、レプリカながらすべて「原寸大」で迫力満点。
さらに絵画にとどまらず、バチカンのシスティーナ礼拝堂を原寸大で再現したり、トルコの洞窟遺跡を原寸大で再現したり、本気を見せてきます。
なんとか1日で回りましたが、いやー全然時間が足りません。友人のように何度も訪れる人がいるのも納得です。
閉館後、友人は知り合いに会うということで解散。ひとりでゲストハウスに泊まりました。
2日目はまたリビングで違う顔ぶれの宿泊客とおしゃべりに花を咲かせ、寂しくない夜を過ごしました。
3日目は香川へ移動。高速道路に乗りロングドライブだったので緊張しましたが、なんとか到着。
香川でお世話になったゲストハウスは、鳴門とはまた全然違う雰囲気でした。
こちらはまだ木の香りがする新しいドミトリー。ゲストハウスは、オーナーの趣味がダイレクトに反映されるのでおもしろいです。
少し夜遅めに到着しましたが、宿泊客の人たちが庭でバーベキューをしていたのでご一緒させてもらいました。
そこでは、わたしと同年代の酒好きで旅好きな女性と知り合ってあれこれおしゃべり。
香川に来たなら讃岐うどんを食べたいと思っていましたが、その方の話では「朝ラーメン」が絶品のお店が近くにあるとのこと。
それはぜひ味わってみたいと、翌朝はその方と一緒に朝ラーメンへ。
いままで味わったことのないあっさりしたスープに大満足。宿泊客との交流は、こんな楽しいハプニングもあるのでやめられないのです。
最終日はあいにくの土砂降りで、観光も躊躇するようなお天気でしたが、帰宅までに何かしたいと思い、とりあえず金毘羅さんに行くことにしました。
金毘羅さんは1300段にものぼる階段が有名ですが、雨だし登る気もなく、とりあえず見に行ってみました。
お土産屋さんも階段の途中にあるので、少しだけ登り始めたら止まらなくなり、なんと土砂降りのなかもくもくと階段を上り本宮へ。
ここまでで700段。奥社へはあと600段。迷いましたが「もう二度とこないかも」と思い、登ることにしてしまいました。
そうそう、最初に杖を借りておいてよかったです。途中からは、杖がないととても登れません!
気合と根性で奥社まで登りましたが、悪天候のため見晴らしはゼロ。
ただし、曇天のおかげで天狗が住むという怪しげな空気感を味わうことができました。
石段は滑るので、登るよりも降りるほうが怖い。足を滑らせたらただでは帰れません。
雨にずぶぬれなうえに、滝汗をかきながら恐る恐る降りて、やっと駐車場へ。なんというか、自己満足の達成感。いい記念です。
朝ラーメンをご一緒した女性に、「空港の近くにとってもいい温泉があるから寄るといいわよ」と聞き、汗を流しにその温泉へ。
疲れた体に暖かいお湯はあまりに気持ちよくて、もう帰るだけだからいいやと化粧を落としてすっぴんで空港に。
この年齢になると周りの目も気にしなくなるんですね。いいのいいの、帰るだけだから。
レンタカーを返し、空港でビールを飲みながらうどんを食べて大満足。
誰かに合わせなくてもいい旅で、開放感を思い切り味わってしまいました。もう最高。
自分だけの時間を味わえる「ひとり旅」
この旅で味をしめたわたしは、息子が研修旅行などの宿泊行事があるときに日程をぶつけて、ひとり旅をするようになりました。
千葉での合宿のときは、千葉まで見送り、そこからレンタカーを借りて香取神宮、鹿島神宮、息栖神社の「東国三社巡り」に行きましたし、そのあと息子が修学旅行に行ったときには、京都・奈良のディープ神社旅行に行きました。
やはり国内は移動時間が短くて済むので、息子の宿泊行事などの数日でささっと身軽に行けるので便利です。
それぞれの場所で毎回ゲストハウスにお世話になりますが、どこも個性があってそれも楽しい。
旅先で出会った宿泊客の方と、SNSでつながったりもしました。
もうすっかり一人旅が楽しみのひとつになってしまったわたしは、息子の宿泊行事を楽しみにしていたりします。
今年はなんと秋に息子のカナダ研修旅行があり、1週間ほど不在。きっとわたしはまたどこかに一人旅に行くのだと思います。
コロナ禍が明けて、また外国人観光客が戻ってきたので旅費も以前のようにはいかないかもしれませんが、時期を選べば飛行機チケットはさほど変わりませんし、安いゲストハウスも探せばあるでしょう。
ひとりで行動したいかどうかは個人差がありますが、「おひとりさま」が市民権を得て、ひとりで自由に旅を楽しむ人も増えて来たなと思います。
もし少しでもひとり旅をしてみたいと思っていたら、国内からぜひ行かれてみてはいかがでしょうか?
忙しい日常から離れて、自分だけの時間を味わえる旅、最高ですよ!
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