こんにちは、メンタル鍼灸師のまなです。
秋も深まり、空の色が一段と高く澄んで見える季節。
紅葉が風に舞い、夕暮れが少しずつ早まるころになると、胸の奥にふと“物悲しさ”がよぎることがあるかもしれません。
理由はわからないけれど、少し寂しい。そんな感覚を覚えたら、それは自然が教えてくれているサインかもしれません。
悲しみは「自然なこころの動き」

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東洋医学では、秋は「肺」に対応する季節です。
肺は呼吸を司ると同時に、心の感情では「悲しみ」と深く関わります。
空気の乾燥や気温の低下は、肺の働きを弱めやすく、それに伴い感情面でもセンシティブになりやすいのです。
ですが、この“悲しみ”は悪いものではありません。
悲しみは「今までの出来事を浄化し、次の季節に向かうための準備」を促す、心の自然な作用です。
木々が葉を落とすように、私たちも余分な思いや疲れをそっと手放すとき。
そうすることで、新しい「気」が流れ込み、心と体が軽やかになります。
秋の心を整えるセルフケア
1. 深い呼吸で「いま」を感じる
呼吸は、身体と心をつなぐ架け橋です。
忙しい日々の中で浅くなりがちな呼吸を意識して整えるだけでも、自律神経が安定し、気持ちが落ち着きます。
- 簡単な呼吸法
- 背筋を伸ばして楽に座る
- 鼻からゆっくり4秒かけて吸う
- 口をすぼめて、6~8秒かけて吐く
- これを3~5回、朝晩行う
呼吸とともに、「悲しみ」や「不安」もやさしく吐き出すようなイメージも大事です。
2. お灸で胸の重さをほどく
感情の滞りは、胸のあたりに現れやすいもの。そんなときにおすすめのツボがこちらです。
ダン中(だんちゅう):両乳頭を結んだ線の真ん中あたり
→「心を開くツボ」と呼ばれ、ストレスや悲しみで重くなった胸を軽くします。
太淵(たいえん):手首のしわの上、小指側にあるくぼみ
→ 肺経の要穴で、呼吸の質を整え、乾燥による咳や疲れにも◎。
神門(しんもん):手首のしわの小指側の骨際
→ 不安や不眠、心の緊張を鎮めるツボです。
お灸が難しい場合は、指で軽く円を描くように押すだけでも効果があります。
お灸をする際は、熱さを我慢せず、「心地よい温かさ」で止めるのがポイントです。
3. 食で肺と心を潤す
秋の乾燥は肺を痛めやすく、それが気持ちの不安定さにもつながります。
「白い食材」を中心に、身体を内側から潤す意識を持ちましょう。
- おすすめ食材
- 梨・れんこん・大根・百合根・銀杏・白きくらげ
- 体を温める生姜・ねぎ・味噌汁などもバランス良く
甘味と潤いをもたらすスープや煮込み料理は、心を穏やかに整えてくれます。
4. 夜は「沈む時間」を大切に
秋の夜長は、思考が深まりやすい時間です。でも、考えすぎて眠れなくなることもあります。
そんなときは、スマートフォンの光を早めに閉じて、湯船でゆっくり温まってください。
体が温まると副交感神経が優位になり、眠りの質がぐっと上がります。
“考えすぎる心”を、湯気とともに手放してあげましょう。
おわりに ─ 悲しみは心の浄化
秋の物悲しさは、決して避けるべきものではありません。それは、あなたの心が繊細に季節を感じ取っている証です。
泣きたくなったら泣いていい。誰かの声が恋しくなったら、思い出していい。
そうして心をほどいていくことが、冬を穏やかに迎えるための準備になるのです。
静かな秋の夜に、深呼吸をひとつ。「今日もよく頑張ったね」と、自分に声をかけてあげてください。
その言葉こそが、あなたにとっていちばんの心のお守りになります。
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