「もっとちゃんと言葉のキャッチボールをしよう」
かなり昔から、そんな言葉を何度も耳にしてきました。しっかり投げて、しっかり捕る。もちろん、その通りなのですが、「どう投げるか」「どう捕るか」の中心には自分しかいません。
投げ方ばかりを鍛えすぎて豪速球。捕ることばかりを鍛えすぎて指示待ち。…そうなってしまう方も少なくありません。
ドッジボールとキャッチボールの違い
相手にボールをぶつけて終わらせる、ドッジボール。対してキャッチボールは続けることを目的としています。キャッチボールをしているつもりでも、ドッジボールをしているケース、案外多いのではないでしょうか。
キャッチボールをするのなら、投げるときは捕る人のことを考えて投げる必要があるし、捕るときは投げた人のことを考えて捕る必要があります。
捕れないボールを投げながら、あるいは投げられたボールを捕らずににいながら、「うまくキャッチボールができないのは相手が悪い」と思い込んでしまうのは、おかしいですよね。
無理に続ける必要はありません。やめたければやめてもいい。でも、良い関係の継続を望むなら、ドッジボールではなく、キャッチボールを心がけるべきでしょう。
キャッチボールをするにはどうすれば良い?
キャッチボールがしたいけど、どうして良いかわからない方もいるでしょう。実は、キャッチボールをすることは、とても簡単なこと。
もう少しだけ、相手をしっかり見れば良い。「会話を続けよう」と思えば良いのです。話が続かないのは、あなたが続けようとしていないから。「キャッチボールをしよう」そう決めれば続くはずです。
返事の間やタイミング
キャッチボールを続けるために重要になることのひとつが、「返事」の間やタイミングです。
先日、とあるレストランで店員さんに話しかけられた子どもに対して「お返事は?」とお母さんが訪ねていました。返事がないと困るし、不安になるし、反応がないのは寂しいもの。だから、会話において、返事は大切なのです。
返事をすることは大前提ですが、その間やタイミングって、教わったこと、ありますか?おそらく多くの人が、ないと答えると思います。「返事はすぐに」…本当にそうでしょうか?
知人と、とあるちょっとステキなレストランに行ったときのこと。高級感があり、スタッフも背筋の伸びた感じの良い方が多いお店。私たちのテーブルを担当してくれた男性は、笑顔も爽やかで、ハキハキ話す、ベテランの雰囲気漂う方でした。
でも、時々交わす会話が、なんだかやけに話しにくい。最初不思議に思っていたのですが、だんだんわかってきました。返事が早すぎたんです。
「あの、さっき頼んだあれな…」「はい!」「ふたつに分けていただきた…」「かしこまりました!」という感じ。
きちんと要望に応えてくれるし、理解を間違えているわけでもない。大きな問題はないのですが、どうも、やけに会話しにくいのです。先回りされる感じが、心地よさよりも居心地の悪さを作り出すのですね。
「いいから、まず聞いて」だんだんそんな気持ちになっていきました。
「ないよりマシ」とはいえ、返事は早ければ良いってものではない。スピード感より、その「間」。相手の言葉の句読点に合わせるくらいが、気持ち良いコミュニケーションをうみます。ぜひ、心がけてみてくださいね。
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