こんにちは、精神科医・心理研究家のゆうきゆうです。発行しているメルマガでは、人間心理を裸にして、あやつる技術をお教えしています。
あなたは何かを継続するのが得意でしょうか?または苦手でしょうか?
今回は、継続力を極め、何かを積み重ねていくための方法を教えましょう。
「マリガン」とは?
さてみなさんは「マリガン」というものをご存知でしょうか?
いわゆるゴルフ用語で「最初の一打で失敗したら、それをノーカウントとしてやり直すことができる」というものです。
やり直すことができると言っても、公的に決まっているわけではありません。
「あ、失敗した!よし、いまのはマリガンで!」「しかたないなぁ、ハハハ」みたいな雰囲気で、仲間内などでなぁなぁに運用されるレベルの話です。
プロの試合などでは間違っても使われません。
名前の由来には色々な説があります。
代表的なのは実業家のデイビッド・マリガンという人物がいて、ゴルフをプレイした際に「最初の一打が気に入らず、試しにもう一打を打ってみたところ、素晴らしい当たりだったので、そっちを第一打とした」というエピソードがあり、そこからマリガンと命名されたというもの。
マリガンとは「失敗を許す」くらいな意味合いで使われているわけです。
さてこの言葉、実は何かの習慣を継続するに際して、何より重要な意味を持ちます。
マリガンこそが最強!?
実は心理学者マリッサ・シャリフは、数百名を対象にして、こんな実験を行いました。(参考:DIAMOND online)
まず彼らに、自宅で「1週間にわたって面倒くさい作業」を行わせました。その際にABCの3つのグループに分けて、次のように命じました。
A:7日間、毎日必ずその作業を行ってください。
B:7日間のうち、5日だけ行ってください。
C:7日間毎日その作業を行ってください。ただし2日まで休んだとしても構いません。
すなわちAには完全を求め、Bは最初から目標をゆるめ、Cは「イレギュラーの休み」を許したわけです。Cはある意味、「マリガン」ですね。
さてこのとき、どうなったと思いますか?
実は、目標達成率がもっとも高かったのはC。53%が目標を達成しました。
そしてBは26%、Aは21%しか目標を達成することができませんでした。
そうです。マリガンこと、「完璧を目指しつつも、失敗したら許す」という方式こそが最強だったわけです。
これ、おもしろいと思いませんか?
特にBの「最初から目標を低くする」というのは、マリガンと非常に近いように思えつつ、結果を見ると、達成率が低かったわけです。
最初から低いところを狙うのではなく「完璧を求めつつも、できなくても許す」という形こそがベストというわけですね。
マリガンの習慣術
よって、みなさんも覚えておきましょう。
ある習慣を続けたいのなら、「毎日やるぞ!」とただ誓うのではなく。または、「まぁ週に5日くらいやれればいいや」とゆるく設定するのでもなく。
「毎日やるぞ!ただ週に2日くらいはできなくても大丈夫!」と、マリガンを認めてあげること。それこそが最強なわけです。
そしてできたら、その習慣を記録につけていくのがよいでしょう。
カレンダーでもメモ帳でも構いません。日付とセットで、達成したことの記録をつけていくわけです。
たとえば、できたら○。できなければM(マリガンの略です)などのように書いてみてください。
するとあとから「お、こんなに継続できたんだ」と実感でき、自信につながるはず。このような形がもっとも長続きしていきます。
目標はとにかく小さく!
もちろんですが、「それでもできない」ということもあるかもしれません。その場合は、目標設定がそもそも間違っている可能性もあります。
そのときは、目標を小さく小さく決めること。腕立て伏せなら「1日1回だけでもする」と決めましょう。
すると、「まぁ1回だけなら」と思って一歩を踏み出しやすくなります。
そして始めてみれば「あ、イケそう」と思って回数を重ねることができます。
しかし「1日100回腕立て伏せ!」なんて思っていると、「面倒くさい…」と思って行動できくなります。目標はとにかく1回でもいい、と考えることです。
これは読書でも同じ。「1日1冊!」なんて思っても続きません。「1日1ページだけ読む」というように小さく小さく区切りましょう。
もちろん1ページだけで終わっても構いません。それでも続けていればいつかは本が読み終わります。
ただ、その1ページも読めないときもあるでしょう。そんな場合こそ「マリガン」です。
たまにはそういう日があってもいい。そう自分を許しながら、また次の日は行動する、と決めていけばいいのです。
1分でも1秒でも行動すること
人間にとって最大の苦しみは「自分で自分を許せない」というものです。
「自分はなんでダメなんだ」「なぜ自分で決めたことを実行できないんだ」「どうしてあのとき眠ってしまって、何もしなかったんだ」そんなふうに自分を責め続けてしまいます。
この思考、一見殊勝で素晴らしいのですが、ただウラを返すと「その思考にとらわれて、いまの貴重な時間をムダにしている」という落とし穴があります。
会社で言うなら、上司が部下のことを、1日ずっと怒鳴っているようなものです。
「お前は生産性がない!時間をムダにしすぎだ!」これって周囲からすれば、「いやその怒ってる時間こそがムダで生産性ないだろ」と思うはずです。自分を責めている人も、それとまったく同じ。
大切なのは、そんな時間があったら、1分でも1秒でも行動すること。
とにかく過去の失敗や後悔はすぐに「マリガン」として許して、きょうこの瞬間やるべきことをやってください。
その積み重ねこそが最高の未来と、充実したいまを作っていくんですよ。
- image by:Unsplash
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。