性教育、学校任せで大丈夫?
子どもに正しい性の知識を伝えたい。でも、何をどう伝えればよいのかわからない。そんなパパ・ママもいるのではないでしょうか。
あるいは、必要なことは学校で教えてくれるだろうと思っている方もいるかもしれません。
しかし文部科学省は保健科目に対し、「受精と出産については教えるけれど、性交については扱わない」と規定しているため、親やその他の大人が教えない限り、インターネットで手軽に入手できるアダルト動画が性のテキスト代わりになってしまっているのが現状です(参考:一般社団法人「性・愛・命の学び舎」、文部科学省)。
そしてこのことは、ゆくゆく子どもがパートナーと幸せな性生活を築くうえでネガティブな影響を与えかねないと、一般社団法人「性・愛・命の学び舎」代表理事で、真実の性の語り部として「幸せな性」の話を全国に届ける、作家・カウンセラーの夏目祭子夏目祭子さんはいいます。
例えば、いま、“レス”な夫婦は夫婦全体の51.9%と過半数に達しています(ジャパン・セックスサーベイ2020)が、その原因のひとつになっている、男性が「その気になれない…」と妻の誘いを断ること。その2大理由である「疲れているから」と「家族(肉親)のように思えるから」の背景には、男性が最後までイクことを目的とし、女性をモノのように扱う「AV」の存在があるというのです。
本来、性の営みは、選び合ったふたりがまぐわうこと(目を見つめて愛情を通わせること)であり、契りを交わすこと(パートナーとなることを約束すること)。その結果、ふたりが心を通わせ、いい関係を築いていける素敵な行為のはずなのに、学校もAVもそのことを教えてはくれません。
むしろ、いやらしいもの、恥ずかしいもの、気持ちが悪いもの…何となくこんなイメージがついて回っています。性の営みは、私たちの命の起源でもあるのに…。
SNSやインターネットが当たり前に存在し、そこから溢れる情報とともに生きていく子どもたちに正しい知識を伝え、いかに誤った情報や有害なサイトから守るのかということは、親世代の喫緊の課題です。
親が子に伝えたい「生」と「性」
筆者も、小学校1年生の子どもを育てる身。性について知ることは、自分のアイデンティティや価値を知ることだと思うので、絵本の読み聞かせなどを通じて、積極的に、そして包み隠さず、家庭で性についての話をするようにしています。
親として子どもに性教育を行う理由はそれだけではありません。思春期を迎える前に、性に関する話題をタブー視することなく親子で話し合える関係性を作っておくことで、親がいざというときのセーフティーネットになれたり、悩み事があったときに寄り添うことができたりするのではないかと考えています。
また、知識を持っていないがゆえに、やってはいけないことをした、あるいはされたことに気づかず、被害を受けたり、加害していたりすることもあると聞きます。「知らなかった」では済まされない傷を負ったり負わせたりしてしまう前に、正しい知識を身につけさせてあげたいと思っています。