6歳の女の子を持つママライター、EMIです。
私の母は、「アルツハイマー型認知症」。母がアルツハイマー型認知症だとわかってから5年が経ち、現在は要介護2。高齢者住宅に入居し、サポートを受けながら生活をしています。
認知症が進行すると、現れてくるさまざまな症状。前回、前々回と、東京から離れた山梨で暮らす母が「アルツハイマー型認知症」と診断されてから現在にいたるまでと、母の入浴拒否についてお話ししました。
今回は、認知症になってから「被害妄想と思い込みが強くなった母」とどのように向き合ってきたかをお話します。
認知症になると被害妄想や思い込みがひどくなるのはなぜ?
認知症のご家族をお持ちのかたで、「被害妄想や思い込みがひどくなった」とお悩みのかたは多いのではないでしょうか?
なぜ認知症になると被害妄想や思い込みがひどくなるのか。それは、認知機能の低下によって状況認識ができず、他人の感情と自分の感情の境界がわからなくなってしまうことで起こるものだと考えられているとのこと。
また、不安感や孤独感、不安定な心情が原因となっていることも多いそうです。
母に現れた被害妄想とは?
認知症になってから母に現れた症状は、「物とられ妄想」と「対人関係の被害妄想」です。
「物とられ妄想」とは、認知症でもっとも多い被害妄想のひとつで、財布や貯金通帳など大切なものを盗まれたと思い込む症状のこと。
認知症が進行した母は、通帳やキャッシュカードをよくなくすようになりました。「なくした通帳、キャッシュカードを娘(私)が取ったのではないか」また、「別居している父が持ち出したのではないか」と騒ぎ立てることもありました。
自分でどこへしまったのか覚えていないのに、「取られた」「盗まれた」という思い込みがとても強かったのです。
何もしていない私にとっては母の言動がとても理不尽に感じられ、喧嘩に発展することもありました。
母が通帳をなくすたびに、しまいそうな場所を隅から隅まで探しましたが、結局は見つからず…。最終的には、金融機関で通帳を再発行することに。
銀行印などもなくすようになり、さすがにもう限界だと感じた私は、再発行した通帳や銀行印などを預かることにしました。母は、認知症になってからだんだんとお金の管理もできなくなってきました。
もうひとつの症状は、「対人関係の被害妄想」です。
母が認知症になってから、介護サービスを利用することになり、ケアマネジャーさんやヘルパーさんと話し合いをする機会が増えました。
母に聞こえないように伝えなければならないこともあり、母に見えない場所でこっそりと打ち合わせをすることも増えていたのですが、その様子が、母には自分の悪口を言っているように見えてしまったようで…。
「何を2人でコソコソ話しているの!私の病気のことをバカにしているの?介護サービスなんて利用しなくて大丈夫」と怒りだしたのです。
認知症になると自分に自信がなくなり、自己嫌悪に陥ることが多くなります。「自分は役立たずだと思われている」という認識に替わることもあり、それが被害妄想へと変わっていくのです。
「近所の人が悪口をいっている」とか「ヘルパーさんは、自分のことをよく思っていない」など勝手にマイナスな思い込みをするようになることが多くなりました。