こんにちは。韓国在住歴4年、日本語教師でライターのHAZUKIです。Webメディア「by them」で、韓国の今を切り取り、生の情報をお届けしています。
今回は日本語を教える身として、そして韓国語を勉強する身として感じたことを正直にお話します。ずばり「日本人は韓国語(またはそのほかの外国語)が韓国人に比べて下手?」ということです。
外国語を勉強中のかたからすると耳が痛い話かもしれませんが、きっと役に立つと思うのでぜひ最後までご覧いただければうれしいです。
なぜ「日本人は外国語が上手じゃない」と思われていると感じたのか
まず、筆者がこのように思うようになったきっかけからお話します。
筆者は韓国に来て4年で、韓国語は上手なほうではないのですが、日本語の授業をしたり、韓国人と話すと「先生の韓国語は日本人っぽくないですね」「いままであった日本人のなかでも韓国語がとても上手!」と言われることがあります。
またこんな衝撃な言葉もかけられたこともあります。
「先生は日本人なのに、韓国語が上手ですね」
この言葉を言った生徒は決して悪気があったわけではなく、いままで教わってきた日本語の先生の韓国語から比較してただ純粋に話していたと思います。
多くの生徒の印象として、「日本人=外国語が上手じゃない」「外国語を話すとき、日本人独特のイントネーションが強く残っている」というものが強くあるようです。
たしかに思い出してみると筆者にも思い当たる節があります。
たとえば、日本語も韓国語も上手で、日本人か韓国人かわからない場合はたいてい(というかいままでの経験で100%)韓国人だったり、韓国語を勉強している日本人で何年も勉強しているにも関わらず、全然会話ができない人が多かったり、在韓日本人同士で韓国語を話してみると、びっくりするぐらい日本語のイントネーションが残っていたり …(これは筆者も含めてですが)。
そして決定的なのは「日本語がとても上手な韓国人」には何度も会ったことがあるのに、「韓国語がとても上手な日本人」には一度も会ったことがないということです。
これは決して「日本人はみんな韓国語が下手!」というわけではなく、筆者が普段出会う割合としての話です。SNSやテレビ、大学院生などで韓国語が上手な人何人かいますが、日常生活では会ったことがありません。
なんだか言い訳がましいようですが、補足をすると、筆者が住んでいるのはソウルではないことも関係していると思います。もちろん、韓国でバリバリ働いている日本人は韓国語が上手な人が多いでしょう。ただ、おもしろいのは韓国では、ソウルではなくても、日本に住んでいなくてもどこでも日本語が上手な韓国人が多いということです。
さて、そろそろ本題に入りますね。
なぜ日本人は外国語が苦手なイメージを持たれるのでしょうか?外国語の習得が早い韓国人とどのような違いがあるのでしょうか?
筆者の経験談と、日本人に韓国語を教えている知り合いの韓国人の意見もまぜながらお話します。
1.中高での「第二外国語」授業の有無
日本では特別な学校でない限り、第二外国語の授業なんてありませんよね。筆者も、中高で英語以外の外国語に触れた記憶がありません。
一方、韓国では中高では第二外国語の履修がたいていの場合必須です。
筆者は韓国で教員免許がないのでこの授業を受け持つことができないのですが、希望者のみに授業を行う放課後授業は行ったことがあります。
放課後授業担当の先生に聞いた話なのですが、外国語の放課後授業を行うと学校にも支援があるので、学校側からしてもぜひ行いたい授業だそうです。
第二言語もほかの科目と同様に試験があるので、たいていの学生は韓国人にとって簡単な日本語を選択します。そのほかにも中国語、ロシア語、ドイツ語などいろいろあるそうです。
ですから、筆者が日本語を担当することになった塾の生徒も「日本語は初めてです」と言いつつも、ひらがなは読める・挨拶はできるという人が多いんです。
最近はこの「第二外言語」科目の教員の競争率が激しく、先生になるために、試験に受かるために筆者の日本語授業を受けてくださるかたも何人かいます。
日本でも中高で第二外国語の授業があって好きな言語を選べたら、外国語に対するコンプレックや恐れみたいなものは少なくなるのではないかと思いました。
2.「生きた外国語」に触れる機会が日本より韓国が圧倒的に多い!
韓国に来たばかりのころ、驚いたのが外国からの輸入品のパッケージがそのまま外国語で、後ろの成分表のところにペタっと韓国語で書かれたシールが書かれていたことです。
日本では海外からの輸入品はわざわざパッケージを作り直したり、日本語表記の成分表を最初から作ったりすることが多いんです。
最近は「韓国ブーム」のおかげが、韓国語を生かしたパッケージにしていたりしますが、それでも日本語が表記されています。一方、韓国は輸入品のパッケージが本当にそのまま表記されています。
実は先日、ある会社で日本語の授業があり、そのなかのコンビニに寄ったのですが、日本のお菓子がそのまま置いてありました。もちろん、客はこのお菓子がなんなのか全くわかりません。日本人からしたら驚きでした。
また、これは商品のパッケージだけでなく、映画の吹替や字幕でも同じなんです。日本では必ず映画やアニメ、ゲームの音声などは日本語音声が用意されていますよね。しかし、韓国は圧倒的に外国語音声、韓国語字幕で放送されることが多いんです。
理由は「手間がかかる」というのもありますが、「オリジナルの声が聞きたいから」との声が大きいのも事実です。
最近、日本で韓国ドラマが流行っているなか、日本語吹き替えで聞く人が多いという話を聞きました。もしかしたら、ここからも差が生まれるのではないかなと思ったりもしました。
筆者の夫は韓国人で日本語はかなり上手なほうなのですが、彼は日本語を3カ月しか勉強したことがありません。
もともと日本のアニメをたくさん見ていたので、日本に対する背景知識があったり、「わからないけどわかる」状態だったんです。
そんな人が本格的に勉強を始めると、多くの時間は必要ありません。実際、塾にくる生徒さんのなかでも、初級から始めたのに2カ月後には中級以上になっている人もざらにいます。
その人たちは、みんなドラマやアニメを日本語で聞いた人たちです。日本にくらべて「生きた外国語」に触れる機会が圧倒的に高いなと感じました。
ほかにも日本人は文法を気にする人が多い、インプットの勉強をしてアウトプットの機会が少ないなどいろいろあります。これからはドラマや映画を見るときにはオリジナルの音声で聞いてみてください。いつかきっと役に立つと思いますよ。
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