人生の一大事である離婚。よい結果か悪い結末なのかは本当に人それぞれですが、その経験が離婚後の生き方に影響するのもよくあること。
つらい思いをしたことで優しくなる人、逆に他人を遠ざけてしまう人など、付き合い方にも変化が現れます。
自分ではなく友人が離婚して、それから関わり方が変わったと話す人たちに、何があったのか聞いてみました。
人の状態を理解しようとする友人の姿に…
「同じ会社で働いていたAとは、それぞれ退職して別の会社に勤めるようになってからもたまに連絡を取ってご飯を食べる間柄でした。
Aはいわゆるエリートの男性と結婚して幸せそうで、私は大学時代から付き合っていた彼氏と入籍して結婚生活はまったく違っていたけれど、近況を報告しあう時間も楽しかったですね。
Aは旦那さんの年収が高いから『私がパート勤務でも生活ができる』とよく言っていて、結婚後もフルタイムで働く私は羨ましいと思う反面、自慢が続くとつらくなって話題を変えるときがありました。
そんなAに離婚話が出たのは『子どもがほしいのに旦那がベッドの時間を避ける』と悩んでいたときで、まさかと思っていたら旦那さんが不倫していることがわかりました。
Aはそれでも別れたくなかったけれど旦那さんのほうが『慰謝料を払うから離婚してくれ』と迫ったそうで、そのころのAはとにかく落ち込んでいて私は話を聞くことしかできなくて。
それまで、私が貯金に回せる額があまりないことを愚痴ったら『夫の稼ぎが少ないと大変よね』とかAは言っていたけれど、『正社員で自分にもしっかり収入があるあなたが羨ましい』と口にするようになりました。
結局Aは離婚を受け入れて、離婚後は実家に戻りパートの仕事を続けています。
『もう振っ切れた。愛情のない人と夫婦でいても虚しいだけよね』と離婚届を出した後で連絡をくれて、『ずっと話を聞いてくれてありがとう』と言ってくれました。
『フルタイムで仕事をしながら家事もするって大変だよね』とねぎらってくれて、こんなAはいままで見たことがなくて驚きましたが、自分も同じ状態になったから理解できるのだなと思います。
私が素直に偉いなと思うのは、不倫や離婚の愚痴を『もう終わったこと』と愚痴を吐かず、いまの自分で精一杯生きようとするところ。
お金のある生活を失っても、周りを責めずに一生懸命仕事をがんばるAを見ると、昔一緒に働いたときを思い出します。
つらいときは支えあえる友人として、これからもいい関係でいたいですね」(女性/35歳/総務)
結婚相手が裕福で恵まれた暮らしをしていても、離婚されればすべてを失います。
友人が傲慢だったとは言えないですが、自分は上だと思うような発言を続けていれば、いずれこの女性まで離れていったかもしれません。
それでも、独身に戻って改めて我が身を振り返り、地道に努力する姿を見れば、応援したいと思いますよね。
離婚して謙虚さを取り戻せる人は、大切な友人との仲もまた守っていけるといえます。