既婚者への「攻撃」ばかりになり…
「同僚のBが離婚したのは、性格の不一致だったと本人から聞いていました。
いまどき離婚は珍しくないし、Bも『うまくいかない時期が長かったから』とあまり落ち込んでいる様子はなくて、一緒に仕事をしていても特に問題などはありませんでした。
ある日、部署のみんなで飲みに行こうとなりBを誘ったら、『結婚している奴はこんなことで時間を潰していいの?』と言い出して。
何のことだと思ったら、『家族サービスしないと俺のように離婚になるぞ』『結婚しているからって自由じゃないんだぞ』など既婚の同僚にあれこれ言うので焦りました。
『やめろよ』と止めてその場は終わったけれど、居酒屋で飲んでいるときも『女はいいよな、旦那が稼げば家でラクできるんだから』など既婚者への嫌味みたいな言葉ばかりで、一緒に来ていた女性社員のみんながあからさまにうんざりした顔をしていました。
雰囲気が悪いのでその日は早々にお開きになったけれど、次の日から部署の女性たちはBに対して冷たい態度を取るようになり、それを見てBは『結婚してるからって別に偉くないからな』とおかしなことを口にして、長い付き合いの俺もさすがに気分が悪くなって。
離婚のストレスがあるのだろうなと思い『ちょっと飲もう』と誘ったら、酔ったBから聞いたのは離婚の原因は性格の不一致ではなく奥さんへのモラルハラスメントだったことでした。
『俺より稼ぎが悪いくせに偉そうにするな』など暴言を吐いていたようで、びっくりした俺が『それはダメだろう』と思わず言うと『何でだよ。誰のおかげで生活できてると思ってるんだよ』とこっちに怒りが飛んできて、困り果てました。
Bの離婚は、会話を録音していた奥さんが実家の両親に事実を打ち明け、両親から離婚を迫られて決まったそうです。
奥さんは親が迎えに来てそのまま別居となったようで、離婚話が出てからまともに話せないまま別れたことも、Bは納得できていませんでした。
自分が悪いと思っていないBを見ていると逃げ出した奥さんの気持ちがわかるようで、会社ではモラハラをする様子はなかったので余計にショックでしたね。
『会社であんな発言はやめろよ』『自分の立場が悪くなるだけだぞ』と言っても『うるさい』と返され、正直もうダメだなと思いました。
自分が離婚されたからって既婚の社員を攻撃するのは間違っているし、会社でそんなことをしていれば敬遠されるのは当たり前だし、視野が狭いというか器が小さいというか…結婚していたころとはまったく違う人間を見るようで、それ以来俺も距離を置いています。
Bはいまも社内では浮いた存在で、離婚の本当の理由も周りにバレて誰も近づかなくなり孤立しています」(男性/38歳/営業)
既婚者を攻撃したところで自分の現実が変わることはなく、孤独が深くなるだけなのに敵意を止められない男性。
離婚された事実、自分の非を認められないと、そのストレスは悪い方向での発散を求めます。
自分自身を追い詰める言動は、将来の道まで閉ざす可能性があることを忘れてはいけません。
冷静さを取り戻すには、離婚を過去にする覚悟が必要です。苦しみは、他人への攻撃ではなく自身の反省につなげることを考えたいですね。