相手の人格を貶め傷つけるモラルハラスメントは、距離の近い存在でも容易に起こります。
配偶者の場合、どこかで相手を下に見たい気持ちがモラルハラスメントを生み、気がつけば愛情は冷めきって離婚にまで発展するケースも少なくありません。
逃げ場のない家庭でモラルハラスメントの被害者になると、自信を奪われ自尊心は砕かれ、生きていく気力まで失うもの。
今回は「モラハラをやめてくれない配偶者」はどうすればいいか、実際に行動を起こした人たちをご紹介します。
モラハラをやめない夫が放った「ありえない一言」
「モラハラがひどく、毎日暴言を吐く夫と離婚しました。
子どもがふたりいてパートタイムでの勤務しかできない私に、『誰の金で生活できているんだ』とすべての家事を押しつけ、育児もほとんどやらないため毎日目が回るほど大変でした。
休日に一緒に遊ぶこともしない夫に子どもたちがなつくことはなく、ご飯を食べていると箸の持ち方にうるさかったり苦手な食材を残そうとすると大声で叱ったり、全員が揃う夕食は本当に気が重かったですね…。
離婚を決めたのは、風邪をひいて寝込んだ私に『さっさと治せ』と言い放って子どもたちのご飯すら用意しなかったときで、お腹がすいたと泣きながら寝室に来る子どもたちを抱いて県外の実家に逃げました。
両親は突然帰ってきた私と子どもたちに驚いており、自分では気づかなかったけれど痩せ細って服もボロボロだったらしく、母に『どうしてもっと早く言ってくれなかったの』と泣かれたときは胸が痛かったです。
夫からは『実家に連絡するな。お前はこの家の人間だ』と繰り返し言われていて、逆らうとどんなひどい言葉を吐かれるか怖くてずっと耐えていたと話すと、父は『人としてありえない』と顔を真っ赤にして怒ってくれました。
年に一回しか帰省しないことを、両親は夫から『妻が帰りたがらないので』と言われていたことも初めて知りました。
家を出た夜に夫からは何回も着信があり、留守番電話には帰ってこないなら危害を加えるような言葉も残されていたため、弁護士を頼って離婚調停を申し立て、何とか離婚が成立したときは解放感でいっぱいでした。
財産分与も養育費もきちんと決められましたが、親や弁護士がいなかったらどうなっていたか、あの家で子どもたちと怯えながら暮らしていたかもと思うといまでも動悸がします。
モラハラの加害者からは逃げるしかない、と本当に思いました」(女性/39歳/サービス業)
配偶者を支配することで加害欲を満たすモラハラ夫のケースです。
巧妙なのは妻の知らないところでその家族にまで嘘を吹き込んでいたことで、邪魔をする人間はとことん排除するのが恐ろしい点。
それでも、真実が外に出れば振る舞いの異常さは隠しようがなく、調停では留守番電話の録音が功を奏して早期に離婚が成立しました。
モラハラの加害者に変わることを望むより、潔く離れるのが本当に自分のためといえます。