結婚すれば生まれるのが義実家とのお付き合い。
ほどほどの距離を保って接するのがベストですが、こちらがそう思っていても義母や義父がそうでない場合は、過干渉ともいえる関わり方に疲れることもありますよね。
配偶者の家族であっても、こちらの私生活に踏み込まれるのは困るもの。
「家の鍵を渡せ」と迫る義母は何を考えていたのか、またどう対策したのか、ある女性のケースについてご紹介します。
「家族になったのだから」と距離を詰める義母
夫と二人の子どもと暮らす幸子さん(仮名/43歳)は、夫の母親である義母の「構ってちゃん」ぶりにはずっと手を焼いていたといいます。
結婚を前提にふたりが交際を始めた20年前から、義母は幸子さんに息子の好きな食べ物や「風邪をひきやすいから気をつけてあげて」と意見することが多かったそうです。
「そのころは私も若くて、そんなお義母さんを見て『子ども思いのいい人だな』と思っていました。お義母さんのアドバイスをちゃんと聞いて、当時はまだ彼氏だった夫の知らないところで連絡を取り合っていましたね。お付き合いを喜んでくれて、実家に行けば私を歓迎してくれて、この家なら私も安心して家族になれると思っていたのですが…」
幸子さんが違和感を覚えたのは入籍してからで、「晴れて家族になったのだから」とそれまではなかった週末の訪問や幸子さんを買い物に付き合わせようとする義母に、「もう少し距離を置いてほしい」と感じ始めます。
「こっちは新婚だし、夫とふたりでゆっくり過ごしたい日曜日でも、義母が突然アパートにやってきて『お昼を作る』とか言い出すことがありました。
私は断るのは申し訳なくて言えなかったのですが、夫が『自分たちでするから』と何度か言い聞かせ、来る前は私か夫に連絡をよこすようになりましね。
夫とは打ち合わせをして、家にいるときでも義母から電話があったら『いまから出かけるところで』とか嘘をついて断っていました」
幸子さんにとっては夫の母親であり突き放すのは心苦しいときもありましたが、夫のほうが義母と距離を取りたがっていることが、救いだったといいます。
どうしても減らない接触
義母の「過干渉」は、ふたりの間に子どもが産まれてからいっそう強くなります。
ふたりとも正社員として働いており、育児休暇が明けたら仕事に戻る予定だった幸子さんは「長男のお世話を義母に頼まざるを得ないときが多く、それが義母の干渉を当たり前にしていったと思います」と当時を振り返りました。
保育園のお迎えや急な残業が入った日の預かりなど、幸子さんが「すみません」とお願いすれば義母は機嫌よく「いいわよ!」と引き受けてくれ、それはふたりにとってはありがたいことで、次男を産む決断をしたのも義実家の存在があったからなのはたしかでした。
一方で、息子夫婦からの頼み事を引き受ける義母のほうは、「私がいないと困るでしょう」と平日の夜でも作ったおかずを持って突然訪ねてきたり週末のお出かけに自分もついていきたがったり、家族の団らんに食い込もうとする機会が増えていきます。
「いろいろと助けてもらっている手前、『来ないでほしい』とはさすがに夫も言えないようで、仕方なく義母も含めて遊園地に行くこともありました。でも、若い私たちと違って義母は体力がなく、結局義母のペースに合わせて動くことになるので、子どもたちが退屈そうにするときがちょっとつらかったですね」
そんな幸子さん家族の戸惑いを義母はいっさい気にしないそうで、「義父はどうされていたのですか」と尋ねると、「マイペースな人で家にいないことも多く、顔を見る回数がそもそも少ないって感じです。自分の妻が息子夫婦にあれこれ関わっていこうとするのも『我関せず』って感じで、止める様子もないし夫に連絡が来たこともなかったです」と、無関心ぶりを思い出した幸子さんはため息をつきました。
自分のおかげで息子夫婦は生活ができていると思っている義母は、幸子さんが作った料理にも口を出し、一緒に食卓につきながら「子どもたちにはもっと薄味がいいのでは」「あなたはこんな味付けで育ったの?」とあけすけに言うのも当たり前になり、境界線がない状態のストレスに幸子さんは苦しんでいたといいます。
こんな義母の圧力が、ある日トラブルを引き起こしました。