結婚すれば避けられないのが、夫の実家とのお付き合い。
新しい家族とはいえ、いい関係を築くにはやはりお互いの努力が欠かせません。
相性が悪いとストレスになるのが義実家とのやり取りですが、角を立てずに距離を取るのもまた、難しいのが現実です。
「合わない」と思いながらも、義実家との関係を良好に保つ妻たちはどんなことを心がけているのか、ご紹介します。
義実家と「いい関係」の正解って?
一昔前は、夫は家庭のなかで絶対的な主であり、その家族である義実家も、妻は敬うのが当然のような風潮がありました。
それに納得できるのならいいのですが、たとえば考え方や価値観がまったく違って合わないと思うのに、それを曲げさせられてまで義実家のやり方に付き合うことは、妻にとっては大きなストレスになります。
反発すれば「生意気だ」などと言われるような有り様は、そもそも夫婦が対等でない証であり、正常とは言えません。
義実家とどんなつながり方をしていればいい関係と言えるのか、それは片方の思惑だけで成立するのではなく、妻みずからも選択していけるもの。
親族となり長い期間接触が続くのであれば、自分はどんなスタンスでいるのかを伝えていくのは、義実家と正しい境界線を引く姿勢です。
いい関係は片方だけで築かれるのではなく、自分もストレスのない関わり方を通して少しずつ信頼を積み上げていくのが、いわゆる「スープが冷めない距離」を保ちます。
これを意識しているのが、義実家と良好やつながりを維持している妻たちです。
彼女たちはどんな姿を義実家に伝えているのでしょうか。
義実家と無理のない関係でいるために
「行きたくない」ではなく「抜けられない用事」にする(30代/金融)
「あしたは畑仕事の手伝いに来いとか、こちらの都合を聞かずに一方的に自分たちの用事を押しつけてくる義実家が、結婚したばかりのころは本当に苦手でした。
向こうは私のことを人手が増えたくらいにしか思っていないし、従うのが当然の流れにされるのが本当に嫌で、夫に話しても『母もそうやってきたから』と私のストレスにピンとこない様子で、それもつらかったですね。
義実家に行くと思うと胃が痛くなり体を壊しそうになったので、あるときから『あしたは◯◯の用事があるので無理です』とはっきり断るようにしました。
理由は仕事や娘の園の保護者会とか、義母たちが確認できないようなことにして、夫にも嘘をつきましたが、罪悪感はなかったですね。
『行きたくない』だと角が立つので、どうしても抜けられない用事を設定して断って、いまは行けるときだけ足を向けています。
最初は文句を言っていた義母たちでしたが、使えないと認識してもらうほうが自分は楽ですね」(30代/金融)
何もないと思うから義実家は平然と用事を言ってくるのであって、どうしても抜けられない用事を作りそれを通すと、最優先にはならない自分たちを知ってもらうことができます。
このスタンスでも義実家との仲が悪くならないのは、すべてを断るのではなく「行けるときは行く」と、歩み寄る余地を作っているのがポイントです。
距離を自分でコントロールしていくためには、無理なく関われるときを大切にする意識も、義実家にいい存在感を与えるのではないでしょうか。
「フォロー」はしない(30代/公務員)
「自己中心的というか、要らないものをうちに押しつけたり買い物に行きたいからクルマを出せと要求したり、『息子の嫁なんだからその母親を大事にするのは当然』の態度で迫ってくる義母が本当に苦手でした。
こっちはフルタイムで仕事をしているし、休日はしたいこともあるのに、断ればなぜか私が『わがまま』と言われるのもストレスでしたね。
夫に話しても『少しくらい時間を作れば』と自分が動く気配はなく、あてにできないとわかったので自分が変わりました。
義母は、用事を断っても後で『この間はすみませんでした』とお詫びのお菓子などを持っていくと機嫌が治るのですが、これをするせいでいつまでも調子に乗るのだと思い、あるときからフォローをばっさりとやめました。
後でお詫びに来ると思っている義母は、最初のうちは『謝罪がない』と夫に愚痴を吐いていて、でもこれも夫が『妻と話して』と相手にしていないのは、こっそり聞いていました。
『その場で断ってそのまま終わり』は、義母も頼みづらくなるのだろうなとわかり、私に直接嫌味を言ってくることはなくて、断り続けたいまは用事を押しつけてくるのも減りましたね。
結局、プライドが高いというか放置される自分に傷ついているだけなので、3カ月に一度くらい夫と顔を見せに行って、そのときに用事に付き合わないフォローではなく手土産として義母の好物を渡して済ませています。
これでも義母の機嫌はよくなるので、相手をするさじ加減は自分で決めるのがいいのだと思っています」(30代/公務員)
用事に付き合えないことをフォローするのはこちらの思いやりですが、それがかえって相手を増長させることもあります。
「そうされる自分が当然」と思わせないためには、断ったらそのままで置くのも、関心を遠ざける秘訣。
あくまで配慮であるフォローは、やめたときから対等であるアピールにもなります。
このケースでも重要なのは、いっさいの関わりを切るのではなくたまに足を向けてコミュニケーションを取ること。
用事の有無に関係なく「気にかけていますよ」のサインが、相手の心を穏やかにします。
時間を設定する(30代/総務)
「自営業をしている義実家とは、結婚したばかりのころは掃除などの用事で呼ばれたら駆けつけていましたが、あまりにも頻繁なので体がもたず、夫に体調不良を訴えて断るようになりました。
同じ会社員の夫も『こっちにも生活がある』と義父たちに言うのですが、とにかく家族の絆を持ち出して責めてくるので、最初の1年くらいは夫婦ともに疲れていましたね…。
縁を切ることはできないし、夫は一人っ子で完全に親を放棄することも難しいしで、考えたのが時間を設定する方法です。
『2時間だけ』『◯◯時まで』と最初に義父たちに伝え、その間だけ用事をしたらすぐ帰るようにしています。
義父たちはこちらの言葉を無視してその後も動かそうとするのですが、『次の予定があるから』と言って帰ります。
このやり方だと、義父たちもそれ以上文句は言ってこないので、いる間はなるべく機嫌よく会話するのを心がけています。
そのうち設定した時間だけ居るのが当たり前になり、自分たちも都合をつけやすくなったころに、妊娠がわかりました。
子どもができてからは、義父たちは私の体をいつも心配してくれて、家族の絆を大事にする気持ちは本当なのだなと感じます。
いまは新生児のお世話があってとても義実家どころではなく、夫がひとりで行っていますが、このまま無理のない付き合いができればいいなと思っています」(30代/総務)
事情があり、義実家と適切な距離を取るのが難しい場合は、こちらのケースのように時間を決めるのも、無理なく関わる方法です。
義実家のほうに強固な価値観がありそこから降りてこないときは、接触する時間を減らすのがストレスを溜め込まないコツ。
価値観を完全に否定するのではなく、自分たちの都合に合わせて付き合うことで、義実家も関わり方を変える気持ちが生まれます。
無理を続けるよりも、お互いに変化の余地を残すことが大切なのですね。
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