結婚して数年が経ったある日、ふと「どうして、あのとき聞いておかなかったんだろう」という思いが胸をよぎったことはありませんか?
お財布のひもの握り方が、想像以上に違った。子どもを持つことへの温度差に、後から気づいた。ケンカになったとき、相手が黙り込むタイプだと知らなかった。
交際中は「好き」の気持ちが何より大きくて、少し気になることがあっても「まあ、いいか」とやり過ごしてしまう。
あるいは、大事な話を切り出すタイミングが見つからないまま、気づけば婚姻届を出していた。
そんな経験に思い当たる方も、きっと少なくないのではないでしょうか。
今回は、婚活サービス「naco-do」を運営する株式会社いろものの調査研究機関「ナコード総研」が、全国の婚活経験のある既婚者800人(20〜49歳男女)を対象に実施した「婚活と幸せな結婚生活」に関する実態調査 の結果をもとに、交際中の“話し合い”と結婚後の幸福の関係を深掘りしていきます。
「あのとき話しておけばよかった」という後悔の中に、これから結婚を考えるすべての人へのヒントが詰まっているかもしれません。
結婚後に気づく「話し足りなかったこと」のリアル
結婚生活が始まると、恋人時代には見えなかったものが次々と姿を現します。
調査では、「交際中にもっと確認・話し合っておけばよかった」と感じたテーマを尋ねています。その結果は、以下のとおりでした。
- 1位 お金の使い方・貯金(29.6%)
- 2位 子どもについての考え(28.1%)
- 3位 困ったときの支え合い方、意見が違ったときの向き合い方(20.1%)
約3人に1人が「お金」について、もっと話しておけばよかったと感じています。お金の話は、交際中にはなかなか切り出しにくいテーマですよね。
「ケチだと思われたくない」「まだそこまでの関係じゃないかも」という遠慮が邪魔をして、結局あいまいなまま結婚に踏み切ってしまう。
しかし結婚生活は、好むと好まざるとにかかわらず、毎日が“お金の意思決定”の連続。外食の頻度、保険の選び方、趣味への出費。
この価値観のズレは、日常の小さな場面で静かに摩擦を生み続けます。
2位の「子どもについての考え」も、交際中にはどこか“重たい話題”として避けられがちです。
「子どもは何人くらいほしい?」と気軽に話すことはできても、「もし子どもができなかったらどうする?」「子育てと仕事のバランスはどう考えている?」と踏み込んだ対話をしているカップルは、そう多くないのかもしれません。
でも、この領域の不一致は、結婚後に最も大きな溝になりやすいテーマの一つです。
そして3位に挙がったのが「困ったときの支え合い方、意見が違ったときの向き合い方」。
これは言い換えれば、“ケンカの仕方”のすり合わせです。意見が食い違ったとき、とことん話し合いたいタイプなのか、一人で冷静になる時間が必要なタイプなのか。
ここが噛み合わないと、問題が起きるたびにすれ違いが深まってしまいます。
注目すべきは、これらの上位テーマがいずれも、交際中には話し合われにくいテーマだったという点です。
つまり、避けてしまいやすい話題ほど、結婚後に「やっぱり話しておけばよかった」と後悔につながっている。この構図は、多くの人にとって耳の痛い事実ではないでしょうか。
幸せな夫婦は「話しにくいこと」を話していた
では、現在の結婚生活に幸せを感じている人とそうでない人とで、交際中の話し合いの状況に違いはあるのでしょうか。
調査では、すり合わせが大切とされる9つのテーマについて、交際中にどれだけ話し合えていたかを比較しています。その結果は、明確な差として表れました。
現在「幸せ」と感じている人(663人)は、9テーマすべてで6割以上が交際中に話し合えていました。
一方、幸せを感じていない人(137人)は、すべてのテーマで話し合い率が5割を下回っていたのです。
幸せを感じている人のなかで最も話し合い率が低かったテーマは「家事の分担」で63.7%。それでも、幸せを感じていない人のなかで最も高かった「住まい・生活リズム」の46.0%を大きく上回っています。
特に差が大きかったのは「お金の使い方・貯金」(+40.9ポイント)と「お互いの気持ちや愛情の伝え方」(+39.4ポイント)でした。
この結果を見て、「そりゃあ仲が良ければ何でも話せるでしょ」と思う方もいるかもしれません。
実際、調査でも「関係が良好だからこそ話しやすいという逆方向の影響も考えられる」と注記されています。因果関係を断定することはできません。
それでも、これだけはっきりとした差があるという事実は、一つの示唆を含んでいるように思えます。
「話し合えたから幸せになった」のか、「幸せな関係だから話し合えた」のか。
その答えはおそらく、どちらか一方ではなく、両方が絡み合っているのでしょう。少なくとも言えるのは、幸せな結婚生活と“対話”の間には、切り離せない関係があるということです。
「話し合えた人」と「話し合えなかった人」の間にある壁
さらに調査は、交際中に話し合えたかどうかが、現在の「価値観の合致」にも影響しているかを確認しています。
結果は圧倒的でした。9テーマすべてにおいて、交際中に話し合えた人のほうが、現在の価値観合致率が高かったのです。その差は+22.4〜+37.3ポイント。決して小さくない数字です。
最も差が大きかったのは、後悔ランキングでも1位だった「お金の使い方・貯金」。話し合えた人の合致率は87.5%、話し合えなかった人は50.2%。実に37.3ポイントもの差がありました。
この数字は、ある意味で救いのある結果とも言えます。なぜなら、「お金の価値観が合うかどうか」は、運命的に決まるものではなく、話し合いというプロセスを通じて“合わせていける”可能性があるということを示唆しているからです。
価値観が完全に一致するパートナーは、おそらくこの世に存在しません。でも、違いを知り、互いの優先順位を理解し、歩み寄れる部分を探していく。その過程こそが、「合っている」と感じられる関係を作っていくのかもしれません。
違和感を「なかったこと」にした人に訪れたもの
もう一つ、この調査で印象的だった結果があります。
交際中に意見の違いや違和感を覚えたとき、どう対処したかによって、現在の幸福実感率にどれほどの差があるのかを調べた部分です。
「自分の中で整理したうえで相手に伝えていた」人の幸福実感率は92.6%。「言葉にして相手と話し合っていた」人も92.2%。どちらも9割を超えています。
一方で、「相手にはあまり伝えなかった」人は68.9%。そして「見ないようにしていた」人はわずか56.6%でした。
伝え方のスタイルは人それぞれです。理路整然と話す人もいれば、感情を率直にぶつける人もいる。
大事なのは上手に話すことではなく、違和感をなかったことにしないということ。この調査は、そのシンプルな事実を、数字で静かに証明しています。
交際中の小さな違和感は、見て見ぬふりをしたからといって消えるわけではありません。結婚後、同じ屋根の下で暮らし始めれば、その違和感はむしろ大きくなっていきます。
「あのとき気になったけど、言わなかった」。その沈黙の蓄積が、数年後の「こんなはずじゃなかった」につながっていく。
56.6%という数字の裏には、そんな後悔のストーリーが透けて見えるようです。
「話し合う」とは、正解を出すことじゃない

image by:Unsplash
ここまで読んで、「でも、大事な話をするのって怖い」と感じた方もいるかもしれません。
お金の話を切り出したら、雰囲気が壊れるかもしれない。子どもの話で意見が食い違ったら、別れにつながるかもしれない。違和感を伝えたら、相手を傷つけてしまうかもしれない。
その恐れは、とても自然なものです。大切な相手だからこそ、波風を立てたくない。嫌われたくない。その気持ちは、むしろ相手を大事に思っている証拠でもあります。
でも、今回の調査が示しているのは、「話し合う」とは必ずしも結論を出すことではないということです。
「自分の中で整理したうえで相手に伝えていた」人の幸福度が最も高かったという結果は、完璧なプレゼンをする必要はないことを教えてくれています。
「まだうまく言えないけど、ちょっと気になっていることがあって…」
そんな一言から始めるだけでもいい。大切なのは、二人の間にある差を否定するのではなく、テーブルの上に置いてみること。正解を出すことではなく、一緒に考える姿勢を持つこと。
それだけで、結婚後の景色は大きく変わるのかもしれません。
まとめ
今回の調査から浮かび上がってきたのは、幸せな結婚生活を送っている人たちは、特別にコミュニケーション能力が高いわけではなく、“話しにくいことから逃げなかった”という、ただそれだけの違いだったということです。
お金のこと、子どものこと、ぶつかったときの向き合い方。どれも交際中には避けたくなるテーマばかりです。でも、避けたテーマほど結婚後に後悔として返ってくるという現実を、この調査は数字で示してくれました。
もし今、パートナーとの間に「なんとなく気になっているけど、言えていないこと」があるなら、それは二人の関係を壊すものではなく、むしろ深めるきっかけになるかもしれません。
「好き」という気持ちだけでは、結婚生活は完成しない。でも、「好き」の上に“対話”を重ねていくことで、二人だけの幸せの形は少しずつ作られていく。
今日、相手に聞いてみたいことが一つでもあるなら、それはもう、幸せへの第一歩なのだと思います。
- source:婚活と幸せな結婚生活に関する実態調査 2026(ナコード総研調べ)/PR TIMES
- image by:Unsplash
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。


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