帰路にさらなる悲しみが待ち構えていた
無事、ユウスケを池尻大橋の自宅へ送り届け、謎のシェアハウスに女性がたくさんいることを目撃してしまったミズサワ。帰り道、朝5時まで営業していて街道沿いにあるため重宝されている家系ラーメン店「濱壱家」でヤケ食いをしつつ、実家に向かった。
ミズ:渋谷からだと自宅より実家の方が近かったので、横浜の実家に戻ることにしたんです。帰路は気を張っていたので安全運転だったんだけど…
編S:あー、なんかやりました?
ミズ:やりましたね…自宅に着いて普通に車庫入れを終えたのに、何を思ったのかもう一度入れ直して、実家の門扉にガリガリガリッとかなりの勢いで。ちなみに母が育てていたカネノナルキの鉢植えもぶっ潰しました。
ミズ:クリスマスに車も家も派手に壊してしまい、絶望感から1時間ぐらい車外に出られなかったです。何より母は車の運転にめちゃくちゃ厳しい人なので、これ、報告したら昼まで叱られるなと。
意を決して自宅に入ると、薄暗いリビング、ソファーの定位置に腕を組んでミズサワを待ち受ける母の姿。まるでというか、完全に鬼のたたずまいだが、とにかく自分が悪いので説明し謝らなければならない。
「実はあの…まぁまぁ信頼していた元カレに…されて…動揺してしまって、本当に…すみませんでした…」
動揺してしどろもどろになる娘の姿にウソはないと感じたのか、普段見たことがない複雑な表情をした母は「まぁそれはつまり、アンタも大人になったってことね…そういう時はそもそも車を置いて帰ってきなさい」とだけ言い、解放してくれた。
編S:親の勘とやさしさですかね…。
ミズ:親ってすごいですね…後にも先にも、叱られずに終えたのはこの件しかないです。ちなみに、彼はその後、仕事も辞めてどこかへ行ってしまったようで、共通の友人も誰も現在の状況を知らないようです。
編S:その後の話も結構切ないですね。でも、そんなに濃い思い出があると、渋谷という街への思い入れも強くなりそうですね。
ミズ:そうですね、10代のころと比べたら訪れる回数は減りましがた、渋谷はいまだに大好きな街です。一般的なイメージだと渋谷は若者の街だと思いますが、実際に過ごしてみると老若男女でにぎわうボーダーレスな街で楽しみがいがある場所だと思いますよ。
ちょっと切ない、または面白いストーリーがすぐそばに転がっているような、独特な雰囲気を持つ渋谷の夜。一度体験してみてはいかがでしょう。
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- ※初出:2018/12/22・TRiP EDiTOR
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