あなたはアンドリュー・カーネギーというアメリカの有名な実業家をご存じでしょうか。今回はその人物の話を通じて、絶望から立ち直り、前向きに生きていくためのヒントを話していきましょう。
大成功した鉄鋼王にも…
アンドリュー・カネーギーは、前述した通り、アメリカの有名な実業家です。鉄鋼会社を設立し、大成功を収めて「鉄鋼王」とよばれました。その純資産は、現在の価値に換算すると約3000億ドル。日本円にすると、なんと30兆円です。純資産70兆円のジョン・ロックフェラーという人物に次ぎ、「歴史上で第2位の富豪」ともよばれています。
とにかく彼は、想像できないほどの大成功を収めました。あなたは、彼のような人生を歩みたいと思いますか?または、存命中の彼の人生を、かわりに生きてみたいと思いますか?実は彼の人生は、そこまで幸せではなかったようです。なぜならカーネギーには、このようなエピソードがあるのです。
拳銃と共に見つけたもの
ある夜のこと。彼はあまりに多くの悩みを抱えて「もうどうしようもない…」と苦しんでいました。そしてその結果「自殺をしよう」と思い立ったそう。手段は「拳銃」で自分の頭を撃ち抜くこと。
決心した彼は、護身用の拳銃が入っている引き出しを開けました。するとそのなかには、拳銃のほかに便せんセットがあった。そこで彼は思いつきます。「そうだ。自殺するのなら、遺書を書いておかないと」。
わざわざ遺書を残す。「自殺するのも大変なんだな…」と思うと、おかしさがこみ上げてきたそうです。そして遺書を書きつつ、あるアイディアが浮かびます。
「自殺するからには、誰もが納得する理由があるべきだ。その理由をすべてここに書いてみよう」
彼は、すべての理由について列挙してみました。「私が自殺を考えるまで絶望に追い込まれているなんて、もう悩みだらけなのだろう…!全部書いたら数百…いや千はいくのではないだろうか…!」そう思いながら、彼は書いていきます。
「不倫相手の女性から連絡が入り、子どもを認知してといってきた」「親戚の全員が、何らかの問題を起こしており、それらをもみ消さなければいけない」「甥が警察沙汰を起こして、身柄を引き取りにいかなくてはならない」「政治家から圧力がかかり、会社が危機的状況にある」「妻から、今夜食事に付き合ってくれないなら離婚といわれている」
さまざまな悩みがたくさん出てきました。しかしひとつひとつ見てみて「自殺しなきゃいけないレベルか?」と問われると、必ずしもそうとはいえない。カーネギー自身も、うっすらそれに気がついてきました。