悩みの数は?
さらにいうと、悩みの数も重要でした。彼が全部書き尽くし、もうこれ以上は悩みがないと思ったとき。その総計数は、70ほどしかありませんでした。
いえ、70って、普通の人からしたら多いと思うかもしれません。ただ、そもそも数百はあると思っていたわけですから、それは結局ただの幻で、現実的にはそこまでの数はなかったというわけです。ただその70ほどの悩みが、次々と頭に浮かんでは消えていく…という状況だったため、まさに無数に悩みが存在しているように思えたというわけです。
そして彼は明確に書くことにより、悩みが70しかなく、さらに「有限」であることにも気づきました。そして彼はそこまで書いた悩みを見て、ふと思いました。「このくらいなら、何とかできるのでは…?」
ひとつひとつ解決していく
彼は、悩みを書いた便せんを問題ごとに小さくちぎりました。さらにそれを「明日解決できること」「来週以降に解決できること」「来月以降でも大丈夫なこと」「解決できないこと」というように分けたのです。
最初の方のものは次々着手すれば消えますし、「解決できないこと」は、何もできないとあきらめるしかありません。しかし何もできないと明確にわかれば、逆に安心にもつながります。そしてその結果、彼は83歳まで生きました。これ、私は本当に素晴らしいエピソードだと思うのですが、いかがでしょうか。
結論1:誰でも何かを悩んでいる
ここからわかることは、2つあります。1つ目は「カーネギーほど成功した人間でも、悩み、自殺まで考えるほど追い詰められることがある」ということ。
この話、決して彼が「若いとき」の話ではありません。会社はある程度大きくなり、すでに巨万の富を築いていたときの話です。この時点で、どんなにお金を稼いでも、そして社会的に成功しても、それだけで完全な幸せはないというわけです。
誰でも、どんな状況でも、きちんと悩み苦しんでいるのです。よって、もしあなたが悩んでいるときに「これは私が成功していないからだ」とか「自分だけふがいないからだ」なんて考えないようにしてください。
誰だって、悩んでいます。あなたの全精力は、悩みの解決につぎ込むべきで「どうして自分はこんな…」とかダラダラ考えたり、「自分はあの人に比べてダメだ…」なんて無意味な劣等感に心を惑わせたりする必要は一切ないのです。
結論2:実は意外と、何でも対処できる
2つ目は、どんなに悩みがあったとしても、それを明確に把握するだけで、十分に気持ちは楽になり、次に取るべき行動がわかるということ。
とにかく明確に列挙して、向き合ってみてください。それだけでもあなたの進むべき方向がわかります。そしてちゃんと進みさえすれば、気持ちも晴れやかになり、悩みなんてどうでもよくなるのです。
もちろん、悩みのかたちやキャパは人それぞれ。場合によってはこの考え方が、一筋の光になるかもしれない。それがたとえ自殺を決意するほどの悩みであったとしても、です。
どんな悩みも、「見えない」からこそ、よりつらくなる。つらくても、怖くても、まずは前を向いて見つめてみること。それだけで、あなたの気持ちは軽くなっていきますよ。
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