人間関係と感情に左右される
では、部下の立場で考えるとどうでしょうか?実はほとんどの人は無意識のうちに多くのあいまいを生み出しています。その要因が、誰もが持っている感情と人間関係です。
たとえば、報告。人は怒られたくないという気持ちが強くなると、報告の内容は嘘まではいかなくても「あいまいな表現」になることがあります。
また、弱い組織(仲良し集団)に属すと、仲間を想ってあいまいな表現になったり、自分だけが抜きん出ることを嫌ってあいまいな表現にすることもあります。当然、報告をする相手によっても、内容もいい方が変わったりもします。
報告だけでなく仕事そのものも同じです。仕事の効率も普段の人間関係がベースとなり、さらにその日そのときの感情が大きく影響します。たとえば、数字上は2時間で終わる予定の仕事も、組織の人間関係と自分の感情で早くも遅くもなります。
逆に製造現場で決められた時間で作業を行うような場合は、それが各自の心身の負担の変化(その多くはストレス)となって表れてきます。
そこで、プロ集団としての人間関係を構築し、自分の感情を上手くコントロールできれば1番いいのですが、実際にはそんなに簡単なことではありません。ストレスひとつとってもセルフコントロールすることは容易ではありません。そこでまずは自分の状態を知ることが重要になってきます。
自らの感情の波を知る
いつもの自分の言動を振り返ってみる。なぜ、いまその言葉を発したのか?この行動を取ったのか?なぜその感情になったのか?しっかりと振り返ることで自分自身のことだけでなく、周りとの関係性も見えてきます。よし悪しではありません。しっかりと現状を認識することが目的です。
そして現時点で、いつもと違う部分がないかを探してみる。それはいまの自分自身の感情です。感情には波があります。その波を知ることである程度の対処はできます。
上司は「現状把握」が大事だといいましたが、部下は「自分自身を知ること」がテーマです。人は不満が募ると目が外に行き、どうしても他人の悪い部分を見てしまいます。そうすると他人に変化を求めます。
感情的には理解できますが、そこで自分を振り返ってみると自ら変化できることがたくさんあることに気づくでしょう。そしてそれはダイレクトに自分自身のためになります。
「何であいつのために俺が変わらなきゃならないんだ!」などと思った時点で変われる要素は満載。人を変えるよりも自分が変わる方がよっぽど楽です。
「悪いのは自分ではない」そんな風によし悪しで判断する前に、それをどう捉え、どう考え、どう感じるかで判断自体も大きく変わります。まずは、自分自身の言動や想いを振り返ってみる。あいまいにせずに謙虚に本気で振り返ってみれば、いままで気づかなかった自分に出会えます。意外と自分自身って知らないものですよ。
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