私たちは「自分はこういうものである」という自己イメージ、アイデンティティを、どこかで守り続けようとしていると思います。私たち、というよりも「エゴ」がそれを守り続けようとしていると思うのです。
それは、ネガティブなものであっても「これが自分だ」と決めたもの。おそらく無意識のなかにあるものでしょう。
たとえば「私はあまり人に好かれない人だ」「私は人にないがしろにされてしまったり、仲間外れにされがちだ」「何をしても結局、損してばかり」とか。いってみたら思い込みと同じことですが、自分自身に対して思っているイメージです。
自己紹介をするときに出てくるような自己イメージではなくて、普段、何気なく、ふと思っていることが多い。そうすると、当然ながら「やっぱりね」と思えるストーリーが展開されやすくなっています。
無意識に守っている負のアイデンティティ
ある女性のセッションをしていたとき、彼女の「自分は健康ではないから結婚できない」という思い込みについてのワークが展開されていきました。
彼女は、病気になると普段あまりかまってくれないお母さんが自分の面倒を見てくれる、ということを幼いころに学んでしまい、病気であることが愛されることだと思い込んでいました。だから、実際に病気がちだったのです。
でもいざ結婚を願ってみると、今度はこんなに病気がちの自分では、結婚ができないという思い込みが邪魔してしまいます。でも健康になることは、彼女にとっては怖いことなのです。だって、愛されなくなると心の奥で思い込んでいるのですから。
彼女は何回かのワークを重ね、お母さんにかまってもらえずに悲しかった子ども時代の傷を癒し、病気であることを自分のアイデンティティにすることをやめ、自分の新しいアイデンティティを作り直しました。そこには、健康的な自分の新たなイメージがありました。
最初はしっくりこなくても大丈夫。想像ができればいいし、それを少しずつ表現できるようになることで、自分の一部になっていきます。そうやって想像の世界から、新しい自分を作り出すことで、それは現実になっていくのです。
私たちは勝手にエゴが作り出してしまった、自己イメージやアイデンティティを守っています。
きょうは、自分が守ってしまっている、ネガティブな自己イメージがないか探してみてください。もしもそれが見つかったら、自分のために手放して、新しいアイデンティティを見つけてみてください。イメージすることから、すべては変わります。