1.「ねばならない思考」を修正する
成功への執着が強いときの頭のなかには、「絶対に成功しなければならない」といった言葉があります。先ほど挙げた例でいえば、
- 今回の商談は絶対にうまくまとめなければならない
- 私は頼りないヤツだと思われてはならない
- クレーマーをうまく納得させなければならない
- 私は昇給昇格しなければならない
- 私は発注を打ち切られないようにしなければならなかった
といった言葉です。このように「○○でなければならない」という考え方を持っていると、そうならないことを極度に恐れるようになります。「もしそうでなければ最悪だ」と考えてしまうからです。こういうときは、この言葉を次のようにいい換えることが有効です。
「○○であるに越したことはない」「○○のときもあれば、○○でないときもある」では、このように先ほどの言葉を言い換えてみましょう。
- 「今回の商談がうまくまとまるに越したことはない」「商談というものは、うまくまとまるときもあれば、そうでないときもある」
- 「私が頼りないヤツだと思われないに越したことはない」「頼りないと思う人もいれば、そう思わない人もいる」
- 「クレーマーをうまく納得させられるに越したことはない」「クレーマーをうまく納得させられるときもあれば、うまくいかないときもある」
- 「私は昇給や昇格ができるに越したことはない」「昇給や昇格ができる人がいれば、できない人もいる」
- 「発注を打ち切られないに越したことはなかった」「発注を打ち切られないときもあれば、打ち切られるときもある」
このようにいい換えると、「絶対に○○でなければならない」という考え方は現実的には正しくないことを思い出すことができるでしょう。必ずしも「絶対に」ということはないのです。
こうやって自分が非現実的なことに固執していたことに気づけば、不安や恐れをそれほどまでに感じるのはあまり意味がないことにも気づけるはずです。すると、冷静さを取り戻し、準備や対策を講じることもできるようになります。
2.肯定的な部分に気づく
ネガティブ思考は「成功への執着が強い」ために生じるといいました。これは、「成功したい」「うまくやりたい」という意識を強く持っているということです。この意識には、「前向きさ」「意欲が高い」というポジティブさがあります。
ついネガティブ思考する人は、ほかにも、「向上心がある」「責任感が強い」「真面目である」「几帳面である」「会社に貢献しようという意識が高い」といったポジティブな側面があります。ポジティブさが強いがゆえのネガティブ思考なのです。
つまり、こういう人はもともとポジティブさを持っている人であり、そのポジティブさは、物事をうまくやる人、成功する人によく見られる要素です。
そういった肯定的な部分が自分にはあるんだと自分を認めることができたとき、ネガティブな思考から抜け出して、いまの自分にできること、いまの自分がすべきことをしっかりやっていこうと、気持ちを切り替えることができるようになります。
このように物事に対する見方を変えることを、専門用語で「リフレーミング」といいます。物事を見る枠組み(フレーム)を変えて見直してみる、ということです。
ある性質には必ずプラスの側面とマイナスの側面があります。ネガティブ思考の人はついマイナスの側面に注目しがちですが、リフレーミングを使って、プラスの側面にも気づくようにすることで、ネガティブ思考から抜け出すことができるようになるでしょう。