5.人間万事塞翁が馬(にんげんばんじ さいおうがうま)
「人間万事塞翁が馬」という故事成語は、「人生の幸・不幸は、目先の出来事の良し悪しでは判断できない」ということを明確に示しています。念のために、この故事成語の解説をします。
昔、国境の近くの塞(とりで)に住んでいたおじいさんが飼っていた馬が逃げ出しました。すると、しばらくして名馬を連れて帰ってきました。その名馬に乗って遊んでいた息子が落馬して大けがをしました。ちょうど隣国と戦争が起きて、けがした息子は徴兵を免れて戦死しなくて済みましたという話です。
「不幸な出来事だ」と思ったら、それがかえって幸運な出来事につながった。逆に、幸運だと思ったら、その先に不幸が待っていた。そんなお話です。誰もが、このような体験について身に覚えがあるでしょう。
電車に乗り遅れて「最悪!」と思ったら、そこでバッタリ会った人から貴重な情報をもらえた。入社面接に落ちた会社が半年後にブラック企業だと問題になった。こういうのはよくあることです。
このように、目先のことで一喜一憂しても仕方がないのが人生というもの。だとしたら、いま抱えている不安や恐れがもし的中したとしても、そのときは確かにつらい思いをするかもしれませんが、その先で振り返ってみたら、その出来事のおかげで別のもっといいことがあるかもしれない。
つまりいま、自分の思い通りになってほしいと考えていることが実現したからといって、長い目で見れば必ずしもそれがベストではないかもしれないのです。そう考えれば、いま考える成功に執着することがあまり意味のないことだということがわかるでしょう。このことを踏まえて、ぜひ次のように考えてみてください。
「起こることはすべて意味がある」と。大切なのは、何があってもそれを前向きに受け止めること、その経験を将来の自分のために生かすことです。このように考えられるようになれば、ネガティブな思考が湧いてきても、それに足を引っ張られて立ち止まることなく、前を向いて歩いていけるようになるはずです。
以上、ネガティブな思考になったときの対処法を説明してまいりましたが、そうなったときはぜひ試してみてくださいね。
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