教育だけで解決するのはまだむずかしい
避妊や妊娠のリスクなどに関して、そもそも女性だけがくわしく学んで解決できる問題でもなく、どちらかといえば、むしろ男性側の学びや意識改善のほうが優先といえます。そのため、学校で性教育などの授業に力を入れ、男女ともに若いうちから避妊などについて学ぶことは、有効な方法のひとつといえるでしょう。
しかし、日本のすべての教育機関で同様の教育を受けられるようにするには、ある程度時間がかかることが考えられます。
教育環境が整うのを待つよりも、まずは緊急避妊薬のように物理的に解決できる方法が身近になったほうが、結果として若い世代を守ることにつながるのではないでしょうか。
幅広い層に必要なもの
「望まぬ妊娠」というと未成年などの若い女性がイメージされがちですが、そのリスクは若者だけでなく、妊娠可能な年齢の女性全般にあるといえます。
たとえば、カップルの間で起きる「デートDV」の問題もあります。デートDVは交際中の相手から暴力やひどい言動を受けるなどのほか、望まない性行為を強いられることなども含まれています。
そのため年齢にかかわらず大人の女性が被害に遭ってしまう可能性も、じゅうぶんに考えられるのです。緊急避妊薬が簡単に購入できるようになれば、多くの層の女性にとって心強いものになりそうです。
望まぬ妊娠はリスクが大きすぎる
たとえば「妊娠をきっかけに交際相手と結婚し幸せになった」「未婚の母になったが頼れる実家がある」など、予期せず妊娠しても、結果として、産まれてきた子どもをきちんと育てることができるケースもあるでしょう。
また妊娠が発覚したものの育てられる環境にない場合、妊娠中から準備し、産まれた子どもを特別養子縁組の斡旋などを実施する団体に託すなどの選択肢もありますが、まだ一般的とはいえない状況です。実際に、望まぬ妊娠をした女性が、産まれた子どもを遺棄してしまったなどのニュースもたびたび報道されています。
望まぬ妊娠をしても自分や子どもを守る方法はあるものの、それらを知らずに「妊娠に気づかないまま時間が経ってしまった」「どうすればよいかわからず相談できる人もいない」という女性が、そのまま出産の時期を迎えてしまう…。ですが、緊急避妊薬を薬局で購入することができれば、日常生活のなかで「自分を守る知識」に接するタイミング自体を増やすことにもなるのです。
そして緊急避妊薬の服用で望まぬ妊娠を防ぐことができれば、心も身体も削られる不幸な結果を減らすことができます。女性が「心理的負担を減らして(緊急避妊薬を)利用できる」環境になったほうが、こういったリスク自体を回避しやすくなるのではないでしょうか。