緊急避妊薬が入手しやすくなることの懸念点は?
緊急避妊薬が入手しやすくなることによる懸念点には、どのようなことがあるでしょうか。
さまざまな考え方を持つ人がいるため、ごく一部の女性のなかには、避妊に対して深く考えたりリスク意識を持たなくなったりしてしまう人もいるのかもしれません。また夫婦関係のなかで、男性側は「子どもがほしい」と思ってるが女性側は「子どもはいらない、ほしくない」と考えている場合、男性に隠れて女性が緊急避妊薬を服用するというケースも、もしかするとゼロではないのかもしれません。
しかし、これらは緊急避妊薬の服用以前の問題であり、性教育が足りないことによる正しい知識の欠如、またパートナー間の信頼や話し合いの不足が問題です。
ほかにも、薬局やドラッグストアで自ら選んで購入できるといった観点からは、医師による診察がないため既往歴、現病にかかわらず服用できてしまうための副作用の危険性や、これまで病院の通報で判明していた性犯罪や児童虐待に気づくタイミングが減るといったことも考えられます。
しかし緊急避妊薬は、服用するタイミングが何より重要です。飲むタイミングが早ければ早いほど効果が高く、12時間以内に服用すれば99%以上の確率で避妊できるといわれています。また「プライベートクリニック」によると、直後〜12時間の間に服用した場合の妊娠率は0.5%なのに対し、61〜72時間の間に服用した場合では4.1%まで確率が上がるそうです。
病院診察時間までの間に、緊急避妊薬を「とにかく早く」服用することが大切なのです。まずは薬を飲み、その後病院で診察を受けるなど心がければ、上記の問題は軽減できるでしょう。
産婦人科医の有志9人が5月20日〜26日に、主にSNSで産婦人科医に実施した「緊急避妊薬のOTC化をめざし議論すべきか」というアンケートでも、74.1%のかたが「非常にそう思う」「そう思う」と回答していました。さまざまな問題を踏まえたうえでも、やはり薬局やドラッグストアでの緊急避妊薬の導入は必要だったのです。
女性を守るための方法として必要
緊急避妊薬を服用したからといって、100%避妊できるわけではありません。それでも、薬を飲むだけで心理的負担を減らすことができるものなのです。
妊娠を望んでいないときに「妊娠したかもしれない」と感じる不安は、女性にしかわかりません。実際には利用する機会がなかったとしても「もしものときは緊急避妊薬がすぐに手に入る」という環境が2021年に実現するのなら、それだけでも安心できるでしょう。
今回、緊急避妊薬が薬局で購入できるようになったように、私たちはこれまでどこかタブーとされてきた「性についての理解」を、改めて進めていかなければならないと強く感じました。
低用量ピルや子宮内避妊具などの日本ではまだ普及していない「避妊方法」や、性感染症を予防するためにコンドームを使用するなど、性を正しく学ぶための教育が年齢・性別関係なく進むよう、親と子、パートナーと話し合える環境を全員で作っていきましょう。
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