過去を変えることは不可能。けれども、人の記憶は書き換えられます。その方法が「トラウマの対処法」です。これは、過去のトラウマに苦しむ人に効果的な療法。
人の記憶はあいまいです。よく、「自分に都合よく記憶をすりかえる」「記憶が美化される」などといわれるように、人はときに記憶を無意識に書き換えています。トラウマの対処法では、それを意識的に行うのです。
今回は、以前メルマガでご紹介した「トラウマの対処法」の動画だけでは伝えきれなかった、補足説明をしたいと思います。
トラウマの対処法
具体的にどうすればいいかというと、まず人間の記憶は「ビデオテープのようなもの」だと考えてみてください。ビデオテープに上書きするときは、「1.ビデオテープを巻き戻す→2.新しい映像を録画する」という手順で行いますが、記憶を書き換える場合も同じです。「1.記憶を巻き戻す→2.上書きしたい情景をイメージする」という手順で、記憶が書き換わります。
ただ、知っておいていただきたいのは、記憶が書き換わるといっても、記憶そのものを消すわけではなく、記憶に対する「捉え方」「感じ方」などを変えるという意味での書き換えです。
「なかったこと」にはしないで
そもそも、人が過去の嫌な出来事を何度も思い出したり、夢に見たりするのは、そこに「未完の思い(後悔の気持ち)」があるからです。「本当はこうしてほしかった」「こうすればよかった」という思いが強すぎて、何度も何度も思い出してしまうのです。
そこでトラウマの対処法では、自分が「こうしてほしかった」というストーリーに記憶を書き換えることで、その未完の思いをイメージのなかで完遂(果たす・満たす・叶える)させます。
結果、後悔の思いが消えて、嫌な出来事を思い出さなくなります。ただ、記憶を自分にいいように書き換えるとはいっても、嫌な出来事すべてを「なかったこと」にするのはおすすめしません。過去の挑戦や失敗をなかったことにしたら、自分の成長にはつながらないからです。
同じような失敗を繰り返してしまう場合だって考えられます。「失敗したけれども、自分の力でなんとか挽回した」というふうに、次につながるようなストーリーに書き換えるようにしましょう。