子どもの人生を阻む「毒親」とは
ただ、誤解のないように最初にお話ししますが、僕は何も「全部、親が悪い」ということがいいたいのではありません。神様でもない限り、「完璧な親」なんていませんからね…。
親も人である以上、なんらかの落ち度や欠点があるでしょうし、ときにはその部分が露骨に表現されることだってあるはずです。感情的に大声を張り上げたり、ときにはコントロールし過ぎることもあるでしょうし、思わず手が出てしまうなんてこともあるかもしれません。僕自身、子どもたちに対して、いま思えばひどいことをいったりやったりしたことがありますし…。
いつもニコニコ笑って許容し、共感的に理解し、受容的に受け入れる親以外が全て「毒親」なのかといったら、そうではありません。
でも、残念ながら世の中には、子どもに対して否定、攻撃、侮蔑、過干渉することによって、「罪悪感」「劣等感」「不安感」「過剰な義務感」「不足・欠乏感」「無価値感」「羞恥心」「絶望感」などのネガティブな感情を、「継続」かつ「執拗」に行うことで、子どもを支配下におこうとする親がいます。そういう親のことを、ここからは「毒親」と呼んでいこうと思います。
スーパーで売っている加工食品には「有害物質は含まれておりません」みたいな表示がされていますが、それと同じように、「子どもの自立を阻み、その子の人生に将来に渡って有害な影響を与える存在」が毒親だということです。
そういう意味でいうと、先ほど「継続」かつ「執拗」といいましたが、たとえば性的虐待や暴力などの身体的虐待などは、たとえ継続して執拗じゃなかったとしても、その後の人生に与える悪影響を考えれば「一発アウト」だということですね。
しかし、こんなに重要な「育児」なのにも関わらず、ほとんどの親は「自分が幼いころにどうだったのか?」をベースにして、ときに親の真似をしてみたり、ときには反面教師にしたり、試行錯誤しながら育児をするのが現実ではないでしょうか。
つまり、意識しているかしていないかに関わらず、私たちは親の子育てスタイルの影響を、いい意味でも悪い意味でも脈々と受け継いできているのです。
その中には、受け継いだ方がいいものもあれば、いまの時代にはそぐわないものもあるかもしれません。いずれにしても、世代間の連鎖は、誰かが強制的に介入しない限り、無自覚に脈々と受け継がれてしまうのです。
これから数回にわたり、『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載します。次回(2021年4月22日公開予定)は、「毒親に育てられた子どもは大人になってどのような問題を抱えやすいのか」についてお話ししていきます。
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