ネガティブな秘密が維持され続けるわけ
1.毒親本人による事実の否定(歪んだ正当性の主張)
これは、たとえば誰がみてもアルコール依存状態にあるにも関わらず、その事実を当事者が認めない、否定する。ときには、アルコールを飲むことが自分にとっていかに大切なことなのかについて正当性を主張するというものです。
同居している家族からしてみたら、そういう家族が家庭内にいること自体、苦痛で不安で恐怖で恥だったりするのですが、当の本人はそういう家族の気持ちを省みません。省みたとしても、その自責の念からさらにアルコールを飲むなど、結局、悪循環は止まりません。
2.毒親以外の家族による事実の否定(歪んだ正当性の主張)
これは、配偶者か子ども、あるいはその両方によって行われます。たとえば、父親がギャンブル中毒状態で家庭にお金を入れないことについて、母親が「お父さんの会社にはすごく意地悪な上司がいて仕事で大変だから、ああやって息抜きすることが必要なんだよ。そうしないとお父さんは病気になってしまうんだよ」と子どもを諭すなど…。
あるいは、「お母さんが日中からお酒ばっかり飲んでいるのは、おばあちゃんからいじめられているからだ」などと子どもが自らを納得させるなど、当事者以外の家族がある意味積極的に家族の暗部を隠し否定するというものです。
3.過剰なまでの世間体伺い
当事者はもちろん、家族総出で家族以外の外部の人たちに対して「うちの家族はごくごくノーマルだ」ということを見せかけようとすることもあります。
どんなに家庭の内部が理不尽で世間の非常識に満ち溢れていたとしても、世間から後ろ指を指されたり、恥をかかされたりするようなことを徹底的に嫌悪し、怖れています。
たとえば、家の外で近所の人とにこやかにいい人を演じながら会話しておきながら、玄関に入った瞬間に態度が豹変し悪口を言い始める…。家の中では傍若無人な暴君として振る舞っている父親が、一歩外に出るとペコペコしている…。
こういうジキルとハイドのような親の姿を日々見せられる子どもが、情緒的に健やかにスクスク成長するのは、かなり難しいことだといえます。むしろ、人や社会に対して過剰なまでの恐怖感を心に植え付けられるのではないでしょうか。