こんにちは。韓国在住歴3年、日本語教師でライターのHAZUKIです。Webメディア「by them」で、韓国の今を切り取り、生の情報をお届けしています。
韓国人男性メダリストが享受する「特典」とは
東京2020オリンピック競技大会(以下、東京オリンピック)も、いよいよ閉幕。
今回は、韓国で東京オリンピックのニュースを追いかけていて初めて知った、「韓国人のメダリストに与えられる羨ましすぎる特典」をご紹介します。
東京オリンピックの男子アーチェリーで、混合団体と男子団体で2冠を達成した17歳のキム・ジェドグ選手。
彼の金メダルを伝えるニュース記事のトップに、『アーチェリー、キム・ジェドグ 兵役免除の可否は?』、『17歳で兵役免除になったキムジェドグ すべてを正直に打ち明けた』(いずれも筆者訳)といったものがありました。
この2つの記事を見てもうおわかりですね。
そう、韓国では、どの種目であっても、国際大会でメダルを獲得すると、「芸術・体育要員特例制度」によって、兵役(軍隊)義務が免除になるんです。具体的には、オリンピックの場合は、金・銀・銅いずれかのメダル獲得で兵役免除、アジア大会などの場合は、金メダルを獲った場合にのみ兵役が免除されます。
- ※ただし、完全に兵役義務が免除されるわけではなく、4~5週間の基礎軍事訓練と、自身の特技分野を生かしたボランティア活動をする必要があります。
その理由は、「韓国の認知向上に貢献した」から。スポーツを通じてじゅうぶん国のために尽くしたと考えられるのです。
最近では、イングランドのプロサッカー1部リーグであるプレミアリーグでプレーしているソン・フンミン選手も、2018年のジャカルタ・アジア大会に出場して金メダルを獲得したことで、兵役免除になりました。
ホントはみんな「兵役に行きたくない」
このようなこともあり、日本語の授業の際、「東京オリンピックのアーチェリーの試合、見ましたか?」と尋ねると、男性のほとんどが「ああ、免除になりましたね〜!」と“羨ましい”といった様子で返してきます。
その背景には、「軍隊生活のつらさ」があるようです。兵役を経験した男性はみな、「兵役は本当にキツかった」と声をそろえます。
北朝鮮と休戦状態にある韓国では、お遊びではなく、実際に戦争が再開されたときのための訓練が徹底的に行われます。それは肉体的にも身体的にもかなりつらいものです。
そのため韓国人男性の本音は、「行きたくない」。
とはいえ、多くの韓国人男性は、オリンピックのメダル獲得による兵役免除制度(芸術・体育要員特例制度)に対して理解を示しています。約2年もの兵役に行かなければいけないのは、スポーツ選手にとってかなり痛手です。
時間を奪われるだけではなく、訓練中に負傷してしまう可能性も高く、そうなってしまえば選手生命が終わってしまします。それは選手本人にとっても、韓国全体にとってもいいことではありません。芸術・体育要員特例制度はよくできた制度だと思います。
また、オリンピックでメダルを獲得した選手には「報奨金」も支払われます(参考:ワウコリア)。
こんなにも特典があるなら、モチベーションも変わってきますよね!
今回の東京オリンピックを通じて知った、「韓国のメダリスト事情」でした。
2021年8月24日には、東京2020パラリンピック競技大会が開幕しますね。また日韓両国の選手たちを応援したいと思います。
- 参考:ワウコリア、YAHOO!ニュース
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- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
- ※本文内容を一部変更しました(2021/8/13)