しなやかでしたたかな子どもの育てかた
そんな人間の複雑な感情が理解できないと、キョトンとしているうちに、人に騙されてしまうでしょう。気がつかないうちに、ゆでガエル状態になっているかもしれません。
人間の心の機微がわかったうえで、しなやかでしたたかな心の持ち主になるには、どうすればよいのでしょうか。
日本人は比較的正直でよい人が多いといわれています。
しかし世界の中には、2枚舌で信用できない人、ウソは日常茶飯事の人など、物事の裏表を知り尽くして、悪賢く立ち回る人はたくさんいます。
相手に悪い心が生じていると気づいたら、それをかわしたり、悪い心を出させないことは大切です。そうしないと、不利に扱われたり攻撃が続く可能性があります。
相撲や柔道などで、相手の攻撃を迎え打つ方法に「いなす・かわす」方法があります。「かわす」は、あしらう、うまくかわすことをいいます。「いなす」は、軽く扱われないように、まるで相手の頭をコツンと叩くような、ちょっとした威圧や攻撃も必要かもしれません。
子どもが「人間通」になるために
では、子どもにどう説明すればいいでしょうか。
幼稚園や保育園や小学校で集団生活が始まると、いろんな環境の子どもがいます。
「いじめる」「いじめられる」ことを心配するより、「なぜいじめようと思ったのか」「なぜいじめられたと思ったのか」「なぜ仲間外れをしようと思ったのか」「なぜ仲間はずれになったと思うのか」と、子どもの心の内を聞くようにしましょう。
すると、子どもは自分の中に芽生える感情を知り、「自分にはこういう感情があったんだ」と自分の心の内を知ることができます。自分の心がわからなければ、人の気持ちもわかりません。自分の心にブレーキをかけることすらできません。
この時期は、まだ心が未発達です。いろいろな友達がいて、いろいろな人の心があることを理解するには、親のちょっとした考えさせる声かけは大切です。
たとえば、人間関係を作っていく基本は、「人の心を大切にする。人の嫌がることはしない」です。
「そんなことをすると、○○ちゃんはイヤだなぁと思うよ」「○○ちゃんも、そうされたらイヤでしょう!」と教えましょう。「〇〇すると、相手は○○と思うよ」と、折に触れて「人には心があるんだ」と、人の心を大切にすることを教えてあげましょう。
将来、人間通になれるようにです。
感情は自分が経験しないとわかりません。さらに経験した感情を、「どうしたらいいと思う」などの質問をしてみましょう。人の心を扱うコツを知るキッカケになるかもしれません。
では、自分が人を騙したり意地悪をしたくなったときは、どうすればいいでしょうか?