「大人だから正しい」の時代は終わり
2017年に、いじめ防止対策推進法に基づく基本方針が改定され、LGBT生徒の保護が盛り込まれました。
最近では、スラックス制服の採用やリボン、ネクタイの選択肢を設ける学校が増え、LGBTQへの理解を深めようとする動きが徐々にみられてきました。しかし、具体的な取り組みは不十分であり、教育、環境構築ともに課題が存在します。
映画『カランコエの花』で、LGBTQについて授業をする先生が当事者の生徒を過度に擁護しようとしたり、周りが気を遣っているようで相手を傷つけてしまうシーンがあります。
悪気のない刃を向けた言葉、何もおかしくないことを特別に見る視線。映画ではありますが、現実で何回も見たことのあるシーンが詰まっていました。
仮に法律や校則が徐々に変わったとしても、個人がいかに正しい情報をインプットしアウトプットするかが大事なのだと痛感させられました。
いま使われている言葉が数年後には差別用語になるかもしれない時代で、大人だからすべてが正しいというわけでも、誰が正しい答えを知っているわけでもありません。
みんなが一緒に学び、認識をアップデートできる空気感があればとよりよい環境が構築されるのではないでしょうか。
誰もが安心できる環境づくりとは
セクシュアルマイノリティを自認する人のなかでは、思春期である学生時代に同性を好きになったり、自分自身の性に違和感をもつなど、セクシュアルマイノリティであることで悩みを抱える人は決して少ないとはいえません。
それらの悩みを学校の先生や友達に相談することで、言いふらされてしまったり、変な目で見られてしまうことを恐れ、自分のなかだけにしまっておくこともあります。
実際、セクシュアルマイノリティであることを公言した後、学校でいじめや差別を経験したという当事者もいます。
このような問題を少しでも減らすには、教師や学生個人がさまざまな性のあり方について知ること。そして、差別がないことはもちろんですが、いつでも安心して逃げられる居場所を学校側が確保することが必要です。